
あわしまマリンパークのクラファンって何だったの?
静岡県沼津市にある「あわしまマリンパーク」をご存知でしょうか。アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の聖地として多くのファンに愛されてきた水族館ですが、コロナ禍の影響で2024年2月に一時閉園を余儀なくされました。
その後一部施設は再開しましたが、財政難の影響が強く残っておりました。そんな危機を救うために行われたのが、クラウドファンディングです。施設の再建と運営再開を目指したプロジェクトは、ラブライブを応援するファンを中心に注目を浴びました。
今回は、あわしまマリンパークの事例を通じて、中小企業や個人事業主の方々がクラウドファンディングを成功させるための実践的なノウハウをお伝えします。
閉園の危機から再起へ。あわしまマリンパークの挑戦


今回の主役であるあわしまマリンパークが、なぜクラウドファンディングに挑戦することになったのか、その背景から紹介します。
コロナ禍による影響と閉園
静岡県沼津市に位置するあわしまマリンパークは、長年にわたり地域で愛される水族館でした。しかし、コロナ禍での来園者減少、施設の老朽化、そして運営会社の経営難という複数の課題が重なり、2024年2月25日に多くのファンに惜しまれながらも閉園を余儀なくされました。
このニュースはSNSなどで大きく拡散され、閉園までの期間、ファンや地元の方々が連日駆けつけ、通常の5倍から10倍もの来園者を記録する日もあったほどです。そこで、あわしまマリンパークの最後を飾る「あわしまマリンパーク FINAL PARTY」が行われました。また、一度目のFINAL PARTYに参加出来なかった方のために、追加PARTYへの参加リターンがある、クラウドファンディングが行われました。目標600万円に対して、980万円もの支援が集まりました。


FINAL PARTYでは主に、ビュッフェ付きの入場券やオリジナルクラファンTシャツ、限定アクキーなどがリターンとして用意され、
その後、一部施設に限定してあわしまマリンパークの運営は再開されましたが、財政難である状態に変わりはありません。施設の維持費や動物たちの飼育費、老朽化した施設を復活させるため、2025年1月からスタート予定のクラウドファンディングプロジェクトが立ち上げられました。


アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の聖地という強み
このプロジェクトの大きな特徴は、あわしまマリンパークがTVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の聖地として、絶大な人気を誇っていた点です。
作中に登場するカエル館や島へ渡るためのフェリーは、ファンにとって特別な意味を持つ場所でした。
クラウドファンディングでは、この強みを最大限に活かし、返礼品にアニメとのコラボグッズや描き下ろしイラストを使ったアイテムを用意しました。これがファンの「この場所を自分の手で守りたい」という想いを強く刺激し、多く注目を集めることとなります。


このような特別な価値があることで、単なる地域の水族館以上の意味を持つようになりました。ビジネスの世界でも同じです。商品やサービスの機能だけでなく、その背景にある想いやビジョンが顧客の心に響く力を秘めています。
クラウドファンディングの基本を理解しよう


ここでは、クラウドファンディングの基本的な仕組みについて、紹介します。
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を調達する手法です。プロジェクトに共感した人々が、それぞれの想いに応じて支援を行います。
支援の仕組み
クラウドファンディングには大きく分けて、3つのタイプがあります。
- 購入型
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支援者は資金を提供する見返りに、商品やサービスなどの「リターン」を受け取ります。
- 寄付型
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見返りを求めない純粋な寄付を募るタイプです。社会貢献活動などでよく利用されます。
- 投資型
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支援者は見返りとして、企業の株式や事業の分配金などを受け取ります。
あわしまマリンパークのクラウドファンディングは購入型に該当します。支援者にはオリジナルグッズ、特別体験、ラブライブ!サンシャイン!!とのコラボグッズなど、支援をすることで魅力的なリターンをゲットできる機会が設けられていました。
中小企業や個人事業主の方が新規事業や商品開発で活用しやすいのは、この購入型です。自社の製品やサービスをリターンに設定することで、資金調達と同時にテストマーケティングやファン獲得も可能になります。
プロジェクトの進め方(5ステップ)
一般的なプロジェクトは、以下の流れで進んでいきます。


クラウドファンディングの成功はプロジェクトの目的・ストーリーへの共感


クラウドファンディングで成功するために最も重要なのは、支援者の「応援したい!」という気持ちを引き出す共感です。 そのためには、人の心を動かすストーリーが欠かせません。
「自分ごと」にさせる物語を描こう
あわしまマリンパークは、「閉園の危機にある聖地を、あなたの力で守ってほしい」という明確なメッセージを発信しました。 これは、ファンにとって他人事ではなく、自分ごととしてプロジェクトを捉える強力なきっかけとなりました。
ビジネスへの応用テクニック
なぜこの事業を始めようと思ったのか?(創業の想い)
この商品やサービスを通じて、社会やお客様にどんな価値を提供したいのか?(理念やビジョン)
開発の裏には、どんな苦労やドラマがあったのか?(開発秘話)
こうした背景にあるストーリーを丁寧に語ることで、単なるモノやサービスの提供ではなく、想いへの共感が生まれ、支援に繋がるのです。
写真と動画で魅力を直感的に伝える
文章だけでは伝わりきらない熱量や臨場感は、ビジュアルの力で補いましょう。
あわしまマリンパークの事例では、アニメのワンシーンと実際の風景を並べて見せることで、ファンの「ここに行きたい!」という気持ちを効果的に高めました。 また、施設の現状やスタッフの想いを動画で配信することも、支援者にプロジェクトのリアルを届ける上で非常に有効です。
ビジネスへの応用テクニック
商品の使用イメージが伝わる写真
製造過程の動画
スタッフのインタビュー
SNSを活用し、情報を拡散させる
ページを一度訪れただけでは、支援に至らないケースがほとんどです。興味を持ってくれた人が後からでも情報を追いかけられるように、LINEやX(旧Twitter)、InstagramなどのSNSアカウントへの導線を必ず用意しましょう。
特にアニメファンのように特定の興味を持つコミュニティはSNSでの拡散力が高く、支援者自身が宣伝役となってくれることも少なくありません。 支援者同士が交流できる場を設けることも、コミュニティの熱量を高める上で有効です。
クラウドファンディングの基礎的な知識や実行方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。


あわしまマリンパークの現在とこれから
2025年1月のプロジェクト開始を予定していたあわしまマリンパークのプロジェクトですが、契約上の変更に伴う協議は難航しました。最終的に、2025年4月10日、Xのしまたろう【あわしまマリンパーク公式】アカウントより、クラウドファンディング休止がお知らせされ、クラウドファンディングのプロジェクトページは削除されています。
2025年7月現在、クラウドファンディングの仕切り直しといった情報はお知らせされておりません。
まとめ


あわしまマリンパークのクラウドファンディング事例から学べる最も重要なことは、プロジェクトを通じて想い・ストーリーを伝えることです。どれだけ技術的に優れたプロジェクトでも、関係者の熱意や想いが伝わらなければ、人々の心は動きません。
- 応援したくなる明確な理由(大義)
- 支援者の心を動かす共感ストーリー
- ファンとの継続的な関係構築
という、どんなビジネスにも応用可能な普遍的な原則に基づいて、クラウドファンディングはおこなうことが理想です。
クラウドファンディングは、単なる資金調達手段にとどまらず、顧客との新しい関係性を築きつつビジネスの可能性を広げる戦略的なツールとなり得ます。ぜひあなたのビジネスでも、クラウドファンディングの活用を検討してみてください。
本記事ではクラウドファンディングの基礎の部分をお話しましたが、プロジェクトの準備や運営には、多くの専門的な知識が求められることも事実です。プロジェクトの成功に向けて専門的なアドバイスが必要な方は、ぜひLEAGUEにご相談ください。
LEAGUEは今回紹介した海外クラウドファンディングのみならず、国内クラウドファンディングにおいても多くのサポート実績があります。クラウドファンディングの企画から実施まで、無料でご相談に対応いたします。お気軽にご連絡ください。
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