クラファン成功率95%を達成するリターン設計と利益確保のコツ

クラファンの割引って、なんであんなに安いの?

リターンって、同じ商品なのにどうして値段が違うのですか?

クラウドファンディング(以下、クラファン)の魅力といえば、市場価格より数段安く購入できるリターンです。クラファンを実行する側からすると、リターンをいかに魅力的に設計して多くの支援を得るかが、目標金額達成の重要なカギとなります。

そして、リターンをより魅力的に見せ、お得感や限定感を演出するために行う施策が「リターン設計」です。

どれだけ素晴らしい商品やアイデアがあっても、リターンの組み方次第で売上は大きく変わります。特に初日の売上は、プロジェクト全体の成否を左右する重要な指標となります。

この記事では、クラファン初日から利益を最大化するためのリターン設計について、基本から実践テクニックまで詳しく解説します。支援者の心理を動かす割引設定の考え方や、利益を確保しながら売上を伸ばすためのノウハウを紹介しますので、ぜひプロジェクト成功に役立ててください。

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目次

リターン設計の考え方

リターン設計を始める前に、まずリターンとは何かをしっかり理解しておきましょう。クラファン特有のこの概念を押さえたうえで、適切なリターンを用意することが重要です。

ここでは、クラファンの種類ごとに適したリターンと、リターンの魅力を高めることが目標達成につながる理由について解説します。

クラファンの種類とリターンの意義

クラファンには主に、支援することで物質的なリターンを得ることができる購入型、純粋な支援の意味合いが大きい寄付型、金銭的なリターンが返ってくる投資型があります。

購入型クラファン

購入型クラファンは、最も一般的なタイプです。支援者は商品やサービスを受け取る目的で支援します。一般販売前の先行予約や限定特典が魅力となり、MakuakeやCAMPFIREなどがこれに該当します。

寄付型クラファン

寄付型クラファンでは、社会貢献やプロジェクトへの共感が支援の動機となります。リターンはお礼のメッセージや報告書など、金銭的価値よりも感謝の気持ちを伝えるものが中心です。

投資型クラファン

投資型クラファン(株式型・融資型)は、金銭的なリターンを期待する支援形態。配当や株式などの金融的なリターンが提供されます。

ふるさと納税型クラファン

ふるさと納税型クラファンは、地域の特産品や体験がリターンとなり、税制優遇も受けられる仕組みです。

物質的リターンはガジェットなどの商品そのものの他に、体験イベントや限定会員権など多種多様な形として提供可能です。

上記のように一般的な商品販売では見られないような、そのプロジェクトならではのユニークなお返しを設定できます。クラファンならではの「その人・そのプロジェクトでしか得られない特別な体験」を提供できる点こそが、リターンの醍醐味です。

リターンの魅力=支援者の心を動かす原動力

クラファンでは、支援者はプロジェクト成功に向けて取り組む実行者の熱意を感じ取り、「応援したい」という気持ちで支援します。特に災害時などにおこなわれる寄付型のプロジェクトでは、支援が必要な現状を訴えることで多くの支援を獲得する流れができます。

一方、購入型クラファンでは、他にはない独自機能を持つ商品や、日本初上陸のプロダクト、既存の機能に“便利さ”をプラスした革新的アイテムなど、いわゆる「クラファンらしい」魅力的なリターンが好まれます。以下のCAMPFIREのプロジェクトのように、カバン職人と製本職人が作り上げた革製本や極小サイズのマウス、自宅でアーケードゲームができるなど、今まで見たことないプロジェクトに人気は集まります。

参照:CAMPFIRE

支援者は実行者の情熱だけでなく、こうした“ここでしか手に入らない価値”に惹かれて支援を決めることも多いのです。言い換えれば、リターンこそが支援者の購買意欲を引き出すトリガーになります。

リターンの魅力は限定性&お得感で引き上げる

実際に数千万円規模の支援が集まる人気プロジェクトでは、魅力的なリターンに加えて、「今支援しないと手に入らない!」と思わせる数量限定や、「今買ったほうがお得だ!」と感じさせる早期割引などのリターン設計が徹底されています。

参照:ワンクリックで音声翻訳&文字起こし。AIマウスで仕事効率化を。115言語に対応(Makuake

商品そのものの魅力を最大限に引き出すには、こうした“限定性”と“お得感”をセットで見せることが不可欠です。

限定性やお得感を作り出すポイントは、早期割引や数量限定の特典をつけることです。こうすることで、「早く支援しないと損をしてしまう」と支援者に思わせる仕組みを作りだせます。

魅力あるリターン設計=支援者の心を掴む設計」であることを念頭に置き、次章から具体的な戦略を見ていきましょう。

売上を最大化する4つのリターン戦略

リターンには大きく分けて4つのパターンがあります。プロジェクトに応じてこれらを組み合わせることで、支援者単価の上昇と購買意欲をかきたてることができます。

ここでは、その4つのリターン戦略について、具体例を交えながら解説します。

単体割引

メインの商品1個をクラファン限定の特別価格で提供する基本戦略です。ポイントは限定性とお得感を打ち出すことです。

以下例のように、割引率や限定数に応じて超超早割超早割早割など段階的な名称を付けます。またMakuake割など、プラットフォーム名を冠した割引を用意する場合もあります。

参照:ワンクリックで音声翻訳&文字起こし。AIマウスで仕事効率化を。115言語に対応(Makuake

人気プロジェクトほど最大割引率を30~50%程度に設定し、このような早期支援者向けの段階的割引で「早く支援しないと損」と思わせる仕組みを作っています。単体割引は初期の支援者を集め、プロジェクトに勢いを付ける起爆剤として非常に重要です。

実績がない新規プロジェクトほど、まずは利益度外視でも超早割を数量限定で提供し、多くの支援者を獲得することが効果的でしょう。

セット割引

商品を複数まとめて販売し、単品購入よりも一層お得になるよう設定する戦略です。例えば、2個セット・3個セットといった形でまとめ買い用リターンを用意します。

参照:ワンクリックで音声翻訳&文字起こし。AIマウスで仕事効率化を。115言語に対応(Makuake

まとめ買いによって1個あたり価格を下げることで支援者にはお得感を与えつつ、事業者側は利益率を確保したまま客単価を上げられるメリットがあります。単品では割引を上げにくい場合でも、セット販売にすれば実質的な割引率を高められます。

例えば1個1万円の商品を2個セット1万8千円で提供すれば、支援者は2千円お得になり事業者も売上増となります。なお大口支援者向け・法人向けに10個セット・20個セットといった業者向けプランを用意する事例もあります。

セット割引は在庫や生産余力があるプロジェクトで売上を伸ばす有効策です。ただし数量を増やす分、リターン配送などの手間も増えるため、無理のない範囲で設定しましょう。

プラスワンセット割

メイン商品に関連商品を組み合わせて販売する、アップセル戦略です。メインの商品にプラスして、あると便利な商品やサービスをセットにし、「これを買えばすぐに完璧な状態で使える」という完成体験を提供します。

有効的な組み合わせ
  • 調理器具+拡張パーツ
  • 電化製品+モバイルバッテリー
  • コーヒー豆+ドリッパー
  • カメラ+SDカード

この戦略により、支援者の満足度を高めつつ客単価アップを狙えます。メイン商品の単価があまり高くない場合に特に効果的で、関連商品を追加することで支援額全体を底上げできます。

ただしプラットフォームによってはセット販売にルールがあります。例えばMakuakeではセットに含める商品は本体価格の20%以内の価格に抑える決まりがあります。プラスワンセット割を使う際は各プラットフォームの規約も確認しながら設計しましょう。

オプション販売

メインのリターン購入者だけが追加で買える関連商品やカスタムサービスを提供する戦略です。プロジェクトの“熱狂的なファン”になってくれた支援者向けに、さらに満足度を高め売上を上乗せする追加オプションを提案します。

例えば、製品の着せ替え用カバー、交換用消耗品、スペシャル仕様のパーツや限定グッズなどをオプションとして用意します。選べる楽しみが増えることで支援者の満足度はさらに向上し、プロジェクト全体の売上ボリュームを自然に底上げできます。

オプション販売は数量無制限で提供できる場合も多く、在庫リスクを抑えつつ売上を伸ばせる手法です。ただしオプションばかり充実させすぎてメインの商品が霞まないように注意しましょう。

ロジックに基づいたリターン設計の流れ

ここからは、クラファンにおけるリターン設計の具体的な流れを解説します。リターン設計は感覚ではなく、目標金額と初日販売数をロジックで決定し、それを逆算して価格と数量を決めるプロセスです。

戦略的にリターンを設計できるようになると、初日の売上や成約率が大きく変わってきます。数字を用いた計画の立て方を学び、売上と利益の両方をコントロールできるリターン設計を目指しましょう。

定価は「仕入れ値×3以上」が基本

まずリターン設計の出発点として、商品の定価(通常販売価格)を適切に決める必要があります。闇雲に高い定価を設定して、70%OFFのような過度な安売り演出をしてはいけません。

最終的な事業ゴールはクラファン成功後の一般販売であり、定価が不自然に高すぎると一般販売時に誰も買ってくれない恐れがあります。

3掛けで原価割れを防ぐ

一般に小売業では「3掛け」という価格設定の目安が使われます。卸値(仕入れ値)の3倍を販売定価にするという考え方です。


仕入れ:4500円 ⇒ 定価:約1万5千円

クラファン向け商品でも、まずはこの卸値×3倍を基準に定価を決めると良いでしょう。この設定ならば、たとえ30~50%の破格な割引を提供しても原価割れせず、プラットフォーム手数料等を考慮しても利益が残りやすくなります。

もちろん商品ジャンルによって利益率の慣習は異なります(例:アパレルは6掛け=卸値の約1.6倍が定価と言われます)。

定価の釣り上げは後々不利益につながる

前述したように、クラファン専用に定価を吊り上げすぎるのは逆効果です。

例えば「定価5万円を7割引!」と大々的に訴求しても、支援者に不自然さを感じさせては信用を損ねますし、プロジェクト終了後にリターン価格より安い定価として販売すると、プロジェクトを支援してくれた方からの信用を失います。

したがって、定価設定は市場相場や将来的な一般販売も見据えて行いましょう。

リターン設計の基本原則=限定感を演出する

リターン設計において何より大事なのは、「お客様にいかに限定感を感じてもらえるか」という点です。

例えば、日本未発売の商品というだけでも付加価値にはなりますが、それだけでは今すぐ買う理由としては弱いかもしれません。

支援者が購入を決めるまでには、いくつかの心理的なステップがあります。現状の悩みに気づいてからの流れは以下のように進み、最後のひと押しとなるのが限定性の提示です。

限定の生み出し方にはいくつか種類があり、クラファンの設計では以下のやり方が一般的です。

限定性の生み出し方
  • 数量限定(限定50個など)
  • 期間限定(○月○日まで)
  • 早期割引特典(40OFFなど)

これら要素を組み合わせ、今買う理由を作り込むことが勝負になります。リターン設計では常に支援者に『今支援しなきゃ損』と思わせる演出を意識しましょう。

リターン設計~3つのステップ

ここではリターン設計の3ステップとして、目標金額の設定から初日で3割の目標達成に向けたリターン販売数&価格の決定方法まで順番に解説します。

ステップ1:クラファンでの目標金額の決定

目標金額は費用コストを考慮して算出する

まずはプロジェクト全体の目標金額を明確に定めます。これは「なんとなく○○万円集めたい」という願望ではなく、リターン設計の出発点となる極めて重要な数字です。

以下の要素を考慮し、ロジカルに算出しましょう。

目標金額を決める要素
  • 製造コスト・原価
  • マーケティング費用
  • プラットフォームの手数料
  • 利益目標
  • 競合プロジェクトの支援金額、支援者数を参考にする
競合プロジェクトの支援状況を確認する

競合プロジェクトの支援金額や支援者数を参考にすることも重要です。

自社商品と同じ価格帯の競合プロジェクトが500万円の支援金と500人の支援者を集めている場合、自分たちのプロジェクトも同程度の支援を得られる可能性があると推測できます。

初日の売上は30%以上を目標とする

大まかな目標金額を設定したら、目標金額に対して初日にどれだけ売るかの初日売上目標金額を設定します。

クラファンでは初日の売上が成功率を大きく左右します。経験則として、最終目標金額の約30~40%を初日に達成できれば、プロジェクト成功確率が一気に高まります。

事例
  • 目標金額:500万円
  • 初日目標:150万~200万円(=500万円×0.3~0.4)

初日に目標の3~4割を売り上げることができれば、支援者やプラットフォーム内での注目度が増し、以降の支援の呼び込みに弾みがつきます。Makuakeでは「今日のランキング」や「新着のプロジェクト」など、スタートダッシュに成功したプロジェクトがTopページに掲載されています。

参照:Makuakeトップページ

ステップ2:開始初日の販売数決定

初日の売上目標額が決まったら、それを具体的な販売個数(支援者数)に落とし込みます。計算方法は主に2通りあります。

目標売上から逆算

初日売上目標を、最も割引率が高いリターンや次に割引率の高いリターン(超超早割、超早割など)の単価(平均単価)で割って、初日に必要な販売数量を算出します。

事例
  • 初日目標200万円
  • 最大割引リターン単価:2万円
  • 200万円 ÷ 2万円 = 100個(初日売上個数)

この100個を超超早割や超早割に割り振り、初日で売り上げることを目標とします。

事前集客リストから逆算

クラファンではプロジェクトが始まる前に、Web広告やSNS広告をおこない、見込み顧客を集めておきます。見込み顧客を集めた事前集客リスト(公式ラインの友達やメルマガ登録者)は、クラファンを成功させるためにフル活用してください。

プロジェクト公開前に集めた見込み客の数に推定成約率(購入率)を掛けて、初日の予想支援者数を見積もります。

事例
  • 公式LINEの友だち数:3,000人登録
  • 推定成約率:10%
  • 初日の販売数:3000人 × 10% = 300人

一般に商品単価が上がるほど成約率は下がる傾向がありますが、1万円の商品で成約率7~15%、2万円なら7~10%、4万円級だと3~5%前後としておきましょう。

以上、「目標売上から逆算」と「事前集客リストから逆算」で算出した初日販売数を比較し、より大きい方の数を初日の販売目標個数として採用することをお勧めします。そうすることで、予想以上に支援が集まった場合でも機会損失を防げます。

先の事例だと、目標売上から逆算の方法は100個、事前集客リストから逆算の方法は300個となるため、大きい方の300個を初日販売数目標に設定します。

ステップ3:松竹梅式の段階リターン設計

ステップ2で算出した初日販売目標数量をもとに、リターンを階段状に設計していきます。具体的には、超超早割・超早割など複数の割引段階を設定し、「売り切れ→次の段階へ」と支援者が移行していく構造を作ります。

事例
  • 初日売上:100個
  • 振り分け:超超早割40個、超早割60個

最も割引率が高い超超早割を40個(初日目標100個の40%)用意し、開始1時間以内での完売を目指すと理想的です。残り60個を次の超早割として初日中に売り切る目標にします。

このように割引率が高いほど数量を少なくして早期完売させ、徐々に割引率を下げつつ数量を増やします。「今買わないと次は割引率が下がる」という状況を作ることで、支援者の焦燥感(FOMO: Fear of Missing Out)を刺激し購入を促します。

リターン設計時のポイント

リターン価格の決め方としては、最安の超超早割は利益度外視~ぎりぎり原価割れしない程度に設定し、その次の超早割では少し利益が出る価格にします。超早割が完売した時点で目標金額に達するよう数量と価格を調整すると、プロジェクトの達成見込みにも安心感が生まれます。

なおプロジェクト公開初期はリターン種類を絞り込み(目安6種類以内)、支援者が迷わないようにするのもポイントです。選択肢が多すぎると決断が鈍るため、まずは主要なリターン(早割各種やセット販売など)に絞り、状況に応じて後から追加する方が成約率は高くなります。

今買わないと損を演出する階段設計の考え方

クラファンにおける階段設計とは、リターンを複数の段階に分け、割引率と数量にメリハリをつけて設定する手法です。

支援者に「後の段階になるほど条件が悪くなる(価格が上がる)から、今支援しないと損だ」と思わせることを狙った設計と言えます。階段設計を上手に使うことで、初日の成約率向上と売上アップの両方が期待できます。

ここではリターンの階段設計の考え方について、重要なポイントを3つの観点から解説します。

最大割引率と限定数のバランス

階段設計のキモとなるのが「最大割引率をどこまで高くするか」と「各段階の限定数をどう配分するか」です。おすすめの最大割引率は30%~50%オフ程度です。

参照:ワンクリックで音声翻訳&文字起こし。AIマウスで仕事効率化を。115言語に対応(Makuake

割引率が高いほど人は「損したくない」という損失回避の心理が働きやすく、「50%オフなら今買わなきゃ損だ!」と感じやすくなります。

ただし、赤字になるほど無理に高い割引率を設定する必要はありません。定価を不当に釣り上げて割引率だけ大きく見せると信用を損ないかねませんし、割引後価格が原価を下回れば本末転倒です。

一方で20%以下の控えめな割引率では「一般販売開始後のレビューを見てからでいいや」と支援を先送りされる傾向があります。支援者に「これはお得だ」と思わせるラインとして、利益を確保しつつ30%前後以上の割引を目安に設定すると良いでしょう。

その上で、各割引段階の限定数を適切に配分します。割引率が高い段階ほど限定数を少なくし、早期完売を目指します。

事例
  • 超超早割 40%OFF(限定40個)
  • 超早割 30%OFF(限定60個)
  • 早割 20%OFF(限定100個)

上記事例のように、割引率と限定数が反比例するバランスにします。これにより、支援者は今逃すと次は条件が悪くなるという焦りを生み、支援者の行動を促進できるのです。

初日売上をバク増させて盛り上がりを作る

階段設計を語る上で見逃せないのが、初日スタートダッシュを演出する役割です。クラファン成功には支援者による自発的な拡散も不可欠ですが、そのためには初日から多くの支援が集まり「盛り上がっている感」を見せることが大切です。

多くのプラットフォームでは新着かつ注目度の高いプロジェクトをトップページ等で優遇表示してくれます。公開直後に支援が殺到すれば、「注目のプロジェクト」としてサイト内外で取り上げられ、さらなる支援を呼び込む好循環が生まれます。

参照:Makuakeトップページ

そこで、前述したように階段設計の最上段(超早割)に思い切った割引と少数限定を設定し、初日に一気に完売させる事が重要です。

事例では40%OFF(限定40個)を用意しましたが、支援開始と同時に真っ先に埋まることを狙います。わずか数分~数十分で最初のリターンが売り切れれば、「開始早々に◯名の支援!」というインパクトある実績が生まれ、SNSでも話題にしやすくなります。

次の段階である30%OFF(限定60個)は初日、できれば3日程度で完売することが理想です。

割引と完売までの目安
  • 超超早割:初日完売
  • 超早割:3日以内完売
  • 早割完売:目標達成

初日からの盛り上がり演出のために、割引率最大のリターンを初日に集中させることがポイントです。

初日で目標金額の3割達成を目指す

繰り返しになりますが、クラファン成功のためにはスタートダッシュが重要であり、公開1週間で目標額の30%以上を集められると目標達成に近づきます。参照

更にいうと、初日で目標金額の30%前後を集められることが理想です。初日に3割位上の支援を獲得すると、プロジェクト達成率は95%にものぼるとMakuakeで紹介されています。参照

したがってリターンの階段設計でも、初日の販売数量・売上計画を立てる際に「30~40%」を一つの指標にしましょう。先述のステップ設計に従って割引率と数量を割り振れば、この目標は十分射程圏内に入るはずです。

事例
  • 目標金額:500万円
  • 初日目標:200万円(150万円以上)
  • 最大割引リターン単価:2万円
  • 初日売上:100個
  • 振り分け:超超早割40個、超早割60個

初日の達成率が高いほど、その後の中だるみ期間を乗り越えやすくなり、最終的な目標達成にグッと近づきます。

支援額UPにつながる要素と行動

リターン設計以外にも、支援額(売上)アップに直結する工夫や行動があります。ここではクラファン準備・運営の段階で意識すべきポイントを4つ解説します。

事前集客は徹底して行う

クラファンの成否は、すでに事前準備の段階で決まっている──CF NEWSでも繰り返し解説している重要ポイントです。特に初日の支援を最大化するためには、公開前からの徹底した集客と告知活動が欠かせません。

事前集客は単なる見込み客集めではなく、支援者に事前情報を届け、プロジェクトへの共感と購入意欲を高めるプロセスそのものです。

SNS、Web広告、Meta広告など複数の導線を使い、公式LINEやメールマガジンへの登録につなげていきましょう。

顧客リストを活用した集客は、関心度の高い見込み客を効率的に集められるため、クラファン後の自社サービスへの誘導という最終目的にも直結する、非常に重要なステップです。

また、身近な友人・知人、既存顧客へ直接声をかけることも忘れてはいけません。クラファンには「1/3の法則」があり、支援者の内訳は

知人が⅓
知人の紹介が⅓
残り⅓が初対面の人

という構成になることが多いと言われています。

オンラインからオフラインまで幅広く活用した丁寧な下準備を行うことで、初日の達成率は大きく上がり、結果としてプロジェクト成功の確率も飛躍的に高まります。

クラファンの効率的な事前準備の方法はこちらの記事で詳しく解説しています。

プロジェクトページを作り込む

支援者が実際に目にするプロジェクトページ(支援募集ページ)の完成度は、支援額に大きく影響します。

ページには、プロジェクトの想いや製品の魅力、リターン内容など、支援判断に必要な情報がすべて詰まっています。わかりやすく魅力的にまとめられたページは、それだけで支援者の心を動かし、支援額アップにもつながります。

ストーリー:実現したい理由を語る

まず、「何のために資金が必要なのか」「プロジェクトが実現すると何が得られるのか」を物語として伝えましょう。

商品の魅力や開発背景、なぜこのプロジェクトに取り組むのかといった想いを丁寧に綴り、支援者が共感できるストーリーを提示することが大切です。

ビジュアル:ひと目で魅力を伝える

テキストだけでは読み進められにくいため、写真や図を効果的に挿入し、視覚的にも訴求しましょう。画像と文章の比率は6:4程度が理想とされています。

とくに動画やGIFアニメーションは、商品の使い方や特徴を直感的に伝えられるため非常に有効です。

信頼性・安心安全が支援を後押しする

商品の仕様やリターン内容は、支援者が疑問を持たずに購入判断できるよう、丁寧かつ正確に記載しましょう。

また、専門家の監修コメント、事前レビュー、海外での実績などを添えることで、ページ全体の信頼性が大きく高まります。

支援者の視点に立ち、「これは信頼できる」「このプロジェクトなら支援しても安心だ」と感じてもらえるよう、細部までこだわったページづくりを心がけてください。

競合プロジェクトから価格を決める

自分たちが初めて挑戦するジャンルであっても、世の中には似たコンセプトのクラファンや商品がすでに存在している場合がほとんどです。そうした競合プロジェクトの事例を研究することは非常に有益です。

特にリターン価格の設定では、同じカテゴリのプロジェクトでどの価格帯が支持されているかを参考にすると良いでしょう。

例えば、ガジェット系のクラファンでは平均支援額が1万円前後という傾向があるため、その価格帯で魅力的なリターンを用意することが推奨されます。参照

また、Readyforの統計によると、5,000〜10,000円のリターンが最も支援を集めやすいというデータもあります。参照

こうした情報を踏まえたうえで、自分たちのプロジェクトでも支援者が手を出しやすい価格帯を意識し、競合より極端に高すぎたり安すぎたりしない適正価格を見極めましょう。

リターン数:最初は6個~最終的に10個程度

用意するリターンのバリエーションはおおよそ5〜15種類、目安として10個前後に収めるのが理想です。支援者の幅を広げるためにも、価格帯や内容が異なる複数のリターンを用意しましょう。

CAMPFIREの統計によると、200万円以上を集めたプロジェクトの平均リターン数は約12個で、リターンが10種類以上あるプロジェクトは目標達成率が高い傾向があります。参照

構成としては、次のようなバリエーションが揃っていると理想的です。

クラファンのバリエーション
  • お試しで支援しやすい低価格リターン(500〜1,500円程度)
  • メイン商品のお得な単品リターン(段階設計で3~4種類)
  • 家族向けの複数個セット割リターン
  • 大口支援者向け高額リターン
  • 付属品や拡張アイテム

ただし、最初から種類を出しすぎると支援者が選択に迷いやすくなるため、公開時点では主要な6〜8種類に絞り、状況を見ながら追加していく方法がおすすめです。

CAMPFIREではプロジェクト公開後にリターンを追加することが可能で、支援が想定より伸びない場合に新リターンを投入する対応も推奨されています。

リターン追加の際は、既存支援者が不利益を被らないよう注意が必要です。特に売り切れたリターンとまったく同じ内容・価格のリターンを後から追加することはできません。

リターン設計で関わるお金や諸経費

クラファンで目標金額を達成したとしても、手数料をはじめとしたさまざまな経費が発生するため、実際に手元に残る資金は支援総額より少なくなる点に注意が必要です。リターン設計では、プロジェクトに関わる費用を正確に把握し、しっかり利益が残るように価格設定を行うことが重要です。

ここでは、クラファンで発生する主な費用項目と、その際に考慮すべきポイントを解説します。

クラファンで関わる基本的な費用

クラウドファンディングにおける主な費用は、主に以下のとおりです。

クラファンの主な費用
  • プラットフォーム手数料
  • リターン原価
  • 運送費(関税)
  • 特許などの取得経費
  • 広告宣伝費

プラットフォーム手数料

プラットフォーム手数料は利用するクラウドファンディングサイトに支払う手数料です。国内大手では概ね支援総額の15~20%前後(サイト利用料+決済手数料)を手数料として差し引かれます。

  • 支援金:200万円
  • 手数料:約34万円(17%)
  • 残量:約166万円

リターン原価(商品代金)

リターン原価リターン品そのものの製造原価や仕入れ代金です。特に物販系リターンは原価率が支援額に直結します。

原価率の高いリターンばかりだと、いくら額面で集めても実際には資金がほとんど残らない事態になりかねません。そのため前述したように「定価=原価×3倍」を基本に設定し、割引後価格でも十分利益が出るような価格設計を心がけてください。

また、デジタルデータ提供やメッセージなど原価ゼロのリターンを組み合わせ、全体の利益率を上げる工夫も有効です。

運送費

リターン品を支援者に届けるための国内発送費用は支援者負担とする場合でも、リターン価格に組み込んで表示するのが一般的です。

送料はリターンごとに個別設定することも可能ですが、支援者にとっては 税込・送料込みの価格で総額がひと目で分かる表示 の方が親切です。できるだけ「送料込み」の価格表示にして、分かりやすさと安心感を提供しましょう。

また、重量物や大型商品、クール便が必要な食品、離島への配送は特に配送料が高くなるため、事前に運送業者ごとに見積もりを取っておくことをおすすめします。

さらに、梱包資材費や発送作業にかかる人件費も、忘れずにリターン価格へ反映させてください。

迷ったら広告宣伝費に力を入れる

クラファンでは、事前集客からプロジェクト終了まで、プラットフォーム外から支援者を獲得するために広告費をかけることが重要です。特に目標金額が大きいプロジェクトほど、自力での拡散だけでは限界があるため、Meta広告やGoogle広告、インフルエンサーマーケティング、PR記事掲載など、さまざまな有料プロモーションを積極的に活用します。

事前に広告費としてどの程度の予算を割けるのかを計算し、あらかじめ目標金額に織り込んでおきましょう。例えば、目標300万円の場合、そのうち約10%の30万円を広告費として確保するといったイメージです。

もちろん、広告費をかけた分だけ支援総額が伸びる可能性はありますが、もし想定以上に伸びなかった場合には費用倒れになるリスクもあります。InstagramやX(旧Twitter)を活用した無料のPR施策も多く存在するため、予算がない場合は、アイデアと熱意による発信でカバーする方法も十分に有効です。

海外からの輸入商品にかかる費用

プロジェクトによっては、海外から商品を仕入れてリターンとして提供するケースもあります。その場合、国内送料だけでなく、海外からの輸送コストも大きな負担になる点に注意が必要です。

航空便や船便の輸送費、通関手数料、場合によっては現地で代理購入を依頼する際の代行手数料など、さまざまな費用が発生します。

さらに、製品によっては関税がかかり、その税率は品目によって大きく異なります。関税率が数十%に及ぶケースもありますが、クラファンで扱われることの多い家電やガジェット類は無税となる場合もあります。

また、海外基準で作られた製品を国内で販売する場合、日本国内の基準に適合しているかどうかを事前に確認し、必要に応じて認証を取得する必要があります。

クラファンで扱う製品の代表的な認証は以下のとおりです。

事前に確認する認証類
  • PSE認証(電気用品安全法)
  • 技適マーク(電波法)
  • 薬機法(医薬品・化粧品など)
  • 食品衛生法(食品関連製品)

これらの試験や認証取得にかかる費用は、海外メーカーとの交渉次第で「メーカー負担」「費用を折半」など、負担割合の調整ができる場合もあります。将来的な国内販売を見据えて、必要経費として交渉してみてください。

リターン設計時の注意ポイント

最後に、リターン設計を行う際の注意点をまとめます。せっかく良い商品・戦略があっても、細部でミスをすると支援者の不信感を招いたりトラブルになる可能性があります。

以下のポイントに留意し、支援者に安心してもらえるリターン設定を心がけましょう。

リターン内容・詳細は細かく記載する

リターン説明はできるだけ懇切丁寧に記載してください。特にプロダクトやグッズの場合は、サイズ・カラー・素材・数量など、スペックの詳細を明確に示すことが重要です。

Tシャツのサイズが選べる場合は S/M/L の選択肢を用意し、色違いがある場合は支援時に選択できるオプションを設定するなど、支援者が迷わず選べるよう配慮しましょう。

また、画像を添える際は、実物に近い写真やイメージしやすい図版を使用してください。支援者が「どんなものが届くのか」「自分に合うサイズなのか」など、不安や疑問を持たないよう、視覚的にも情報を補うことが大切です。

リアルイベントへの参加券をリターンにする場合は、開催日時・場所・参加方法などを具体的に記載し、誤解のない内容にしましょう。

どれか一つでも疑問点があると、支援者は支援をためらってしまいます。些細なことでも丁寧に説明し、安心してリターンを選べる環境を整えてください。

送料・消費税込みで記述する

リターン価格の表示は税込・送料込みが基本です。支援者にとってわかりやすくお得感を感じられるよう、「税込み○○円(送料込)」と総額で書くのがおすすめです。

仮に送料別の場合でも、リターン説明欄に「別途送料◯◯円がかかります」と明記しましょう。消費税や送料について触れずにいると誤解を招き、届いてみたら追加請求されたという不満に繋がりかねません。

クラファンの場合、消費税法上は支援金にも消費税が含まれる扱いになるため(リターンが商品なら売上と同様)、税込価格で案内しておいた方が後々の会計処理もスムーズです。

税込み・送料込みであることを明記した割引後価格はリターン画像などビジュアルにしておくとより親切です。アンカリング効果を高めるため定価も併記しつつ、「税込・送料無料」を強調すれば支援者にとってお得感が一層伝わります。

中古品・酒類など要許可リターンに注意

リターンの中には、法律上許認可が必要な商品やサービスもあります。典型例は中古品(古物)と酒類(アルコール飲料)です。

中古品を取り扱う場合、事前に古物商許可証を取得し、プロジェクトページまたはプロフィールページに許可番号と管理者名を記載する必要があります。

酒類をリターンとする場合も、通信販売酒類小売業免許が求められ、同様に免許情報の掲示が必要です。

許可証を取得済みであれば忘れずプロジェクトページ内に記載し、そうでない場合は計画を見直すか別のリターンを検討してください。法令順守と透明性は支援者に安心してもらうための最低条件です。

リターン追加は既存支援者の不利益にならないように

プロジェクト進行中にリターンを追加・変更する際の注意点です。

支援募集開始後、「想定以上に早期リターンが売り切れたので追加したい」「支援が伸び悩んでいるので新リターンを投入したい」といった状況が起こり得ます。その際には必ず、既に支援してくれた方が損をしない内容にすることが大前提です。

例えば、超早割が即日完売したからといって、同じ価格・割引率のリターンを新たに追加することはNGです。

CAMPFIREでは、売り切れリターンと全く同じ設定のものは追加不可と説明されています。追加する場合は「価格を上げる」「お届け時期を遅らせる」「内容を変更する」のいずれかを条件としています。

先行支援者への配慮を最優先に考え、公平感のあるリターン運営を心がけてください。

まとめ

クラファンのリターン設計は、単なる価格設定ではありません。損失回避性という支援者の心理を理解し、戦略的に組み立てることで、初日から大きな売上を作ることができます。

リターン設計のポイント

階段設計で限定感を演出し、「今買わないと損」と思わせる設計
初日に最終目標の3割を売り上げる計画
利益を確保しながらお得感を伝える価格設計

クラファンは、商品を売るだけでなく、ファンを作る場でもあります。リターン設計を通じて、支援者との信頼関係を築き、その後のビジネスにつなげていきましょう。

とはいえ、いきなり本記事の内容を自社だけで実行することは簡単ではありません。弊社LeaguEでは、海外商品のリサーチや海外企業との交渉、その後のクラファン実施までを含めたフルサポート体制を整えています。クラファンの企画から実施まで、無料でご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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この記事を書いた人

【CF NEWS運営担当&ライター】
LEAGUEではクラウドファンディング専門メディアの運営を担当。
プロジェクトページの執筆をはじめ、物販ノウハウを学べる教育用コンテンツの制作など、多角的に情報発信を担っている。
「初心者でも理解しやすく、すぐに実践できる記事づくり」が信条。
読者に寄り添い、わかりやすく丁寧なコンテンツ設計をおこなっている。

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