
初めて海外の方とビジネス交渉するんだけど何に気をつければいいの?



色々条件を伝えたいけど、失礼な英語になっていないかな?
クラウドファンディング(以下、クラファン)は、中小企業や個人事業主にとって、資金調達だけでなく新商品の市場テストやプロモーションの場にもなります。特に、海外メーカーのユニークな商品、あるいはすでに海外で実績を収めている商品を日本に初上陸させ、独占契約で販売できれば、大きなビジネスチャンスになります。
とはいえ、海外メーカーとの交渉と聞くと、英語でのやり取りや価格交渉、契約、そして法律の壁を思い浮かべ、尻込みしてしまう方が多いことのも事実です。せっかくユニークな海外商品を見つけても、交渉に踏み出せないのは大きな機会損失です。
そこで本記事では、メールを使った最初のアプローチ方法から契約書に盛り込む項目、価格交渉のポイントまで、具体的な手順を追って解説します。さらに、営業メールの英語テンプレート例や交渉フレーズも網羅的に紹介します。
あなたが自信を持って海外メーカーとの交渉に臨めるよう、本記事がしっかりとアシストします。
商談~独占契約の全体像と交渉のマインドセット


海外メーカーとの商談は、実は思っているほど難しくありません。重要なのは相手のメリットを明確に伝えることです。
ここでは、海外メーカーとの商談がどのように進み、独占販売契約に至るのか全体像を解説します。また、海外メーカーとの交渉における基本的な考え方、マインドセットについても解説します。
商談の全体像


商品リサーチとメーカー選定
日本市場でニーズが見込める海外製品を探しましょう。ポイントは海外では高く評価されているのに、日本ではまだ未上陸という掘り出し物です。
海外のクラファンサイト(Kickstarter、Indiegogo)、海外Amazon(アメリカ、欧州)、展示会(海外見本市や東京インターナショナル・ギフトショーなど)に足を運んだり、ガジェットのキュレーションサイト(GIZMODOなど)で話題の商品を調べたりして候補を絞り込みましょう。


最初のアプローチ(営業メール)
ターゲットとなる海外メーカーが見つかったら、メールでコンタクトします。
英語でのメールになりますが、テンプレートを活用すれば大丈夫です。この段階では自己紹介と「あなたの商品を日本で販売したい」という提案を簡潔に伝え、商品カタログや卸価格表の提供をお願いする内容にします。
最初から価格交渉をしたり、独占販売権を要求するのではなく、まずは普通の取引から信頼関係を築くことも大切です。
オンライン商談・交渉
メールのやりとりで相手の関心が得られたら、Zoomなどでオンライン商談に進みます。ここでは、日本における独占販売契約に向けた具体的交渉を行います。独占販売契約を結ぶことで、メーカーの日本総代理として販売を優位に進めることができます。


事前に日本市場のデータや販売計画を準備し、日本市場で商品を発売することがどれだけ有効的かということを説明できるように臨みましょう。
現地に赴くことができるのであれば自ら出向き、実際に面と向かって情熱を伝えることができると有効的な関係を築きやすくなります。
契約条件の合意・契約締結
価格交渉や最低発注数量(ノルマ)、独占範囲(日本国内全域なのか特定チャネル限定か)、契約期間など主要条件で合意したら、契約書を取り交わします。
契約書には必ず「日本における独占販売権(Exclusive Distribution Right)を付与する」旨が明記されていることを確認しましょう。
口約束は絶対NGです。必ず書面に残し、お互いのサインを入れた契約書を交わしましょう。
情熱が鍵となる交渉マインドセット
海外メーカーは、単に商品を販売してくれる業者を探しているわけではありません。彼らが本当に求めているのは、自社ブランドを大切に育ててくれる長期的なパートナーです。特に欧米のメーカーは、交渉相手がその製品にどれだけ情熱を持っているかを重視する傾向があります。
これはクラファンの成功事例にも通じる考え方です。支援者は、製品のスペックに惹かれるだけでなく、開発者の想いやその製品が持つストーリーに共感してお金を払います。
交渉に臨む前に、まずはメーカーのウェブサイトを隅々まで読み込み、彼らがどのようなビジョンや企業理念を掲げているのかを把握することから始めましょう。製品の背景にある物語を理解し、「なぜその商品を日本で販売することに意義があるのか」を自分の言葉で語れるようになることで、表面的な交渉ではなく、真に心を動かすコミュニケーションが可能になります。
そして、メーカーのビジョンや企業理念をそのままクラファンページに反映させることで、支援者から熱烈な支持を受けるクラファンプロジェクトを作り上げることが可能となります。
海外メーカーへの営業メール作成法と返信をもらうコツ


海外メーカーへの最初のアプローチはメール営業が基本です。英語でメールを書くのは不安かもしれませんが、ポイントを押さえればシンプルな英文でしっかり想いは伝わります。
ここでは英語メールの書き方と、送信時のコツを解説します。
メール作成のポイント
簡潔で明瞭に
メール本文は長々と自社PRを書くのではなく、本文冒頭から用件をはっきり伝えることが大事です。海外メーカーは忙しいので、最初のメールはできるだけ短くするのが鉄則です。
まずは返信をもらうことを目標に、シンプルな文章を心掛けましょう。
件名と自己紹介
件名には「Japan Distribution Inquiry(日本での販売代理店契約に関するお問い合わせ)」などと書き、開封してもらいやすくします。
本文冒頭では社名・自分の名前と役職を述べましょう。例えば「ABC Tradingの山田と申します。当社は○○関連商品の販売実績が15年あり…」といった具合です。自社サイトや実績資料があればリンクや添付で示すのも効果的です。
社長や決裁権者からメールすることで本気度も伝わります。個人事業主でも無理に法人を装う必要はありませんが、自分が決定権を持つことはアピールしましょう。
提案内容
本文では「ぜひ御社の商品を日本市場に紹介したい」と提案し、合わせて具体的な依頼を入れます。
Could you kindly provide us with your product catalogue and distributor price list?
製品カタログと卸価格表をご提供いただけますか?
We estimate monthly sales of approximately ○○ units in the Japanese market.
日本市場で○○個/月の販売を見込めます。
We see great potential in your product.
御社商品に非常に可能性を感じています。
We would be grateful if we could arrange a meeting with you at your convenience.
一度お打ち合わせの機会をいただければ幸いです
Thank you very much for your time and consideration.
We look forward to hearing from you soon.
最後は丁寧な結びで締めてください。
連絡先明記
日本語でのメールと同様に、末尾には署名を残してください。
- 名前
- 肩書き
- 会社名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 会社HPのURL
メールアドレスはフリーメールではなく、独自ドメインのメールアドレスを用意しましょう。
英文メール例文
以下に、実際に海外メーカーに送る営業メールの英文テンプレート例を示します。用途に応じて自由にカスタマイズしてください。
To whom it may concern,
My name is [名前] from [会社名] in Japan.
I am reaching out because we are very interested in your product, [商品名].
We are confident that your [商品名] will be supported by many customers in the Japanese market.
Therefore, we would like to propose selling [商品名] on Japan’s largest crowdfunding platform, Makuake.
We believe your product has even greater potential than similar products that have previously raised [金額] yen ($[金額]).
Are you interested in expanding into the Japanese market? Please let us know about any terms and conditions.
Thank you in advance for your time and assistance.
I look forward to your reply.
Best regards,
[あなたの名前]
[会社名]
[住所]
Tel: [電話番号]
Email: [メールアドレス]
URL: [ウェブサイト]
メール送信時のコツとマインド


1000通のメールを送る覚悟を持つ意味
こちらから営業メールを送っても、海外メーカーからの返信率はわずか5〜7%と非常に低いのが現実です。これは、海外メーカーが日々、多くのスパムや無関係な問い合わせを受けているためです。
そのため、メール営業は一発で成功を狙うのではなく、統計的なゲームとして捉える必要があります。まずは「1,000通送る」ことを最初の目標に設定することをおすすめします。
例えば、忙しい方でも1日10通、1か月で300通を送ることを目安にすれば、無理なく進められるでしょう。ただし、単に数をこなすだけでは意味がなく、同じ内容のメールを何度も送るのは逆効果です。
複数のメーカーにアプローチ
同ジャンルの複数メーカーに問い合わせるのも手です。前述のように、一社目から必ずOKが出るとは限りません。
例えば似たジャンルの商品を扱う別メーカーにも声を掛け、交渉の裾野を広げましょう。場合によっては、「◯◯社とも取引しています」と言えると交渉が有利になる場合もあります。
もちろん、同じ商品で競合他社がいる場合は要注意ですが、カテゴリーが同じ別商品であれば問題ありません。交渉数を増やし、経験を積むことで、理想の商品に出会える確率も高まります。場数を踏んで交渉スキルは磨かれるので、最初の数社でうまくいかなくても落ち込まず次に挑戦しましょう
継続交渉の心構え
同じメーカーに送るメールの内容については、2回までは同じ内容で問題ありません。ただし、2回目を送って以降も返信がない場合は、文章の長さや内容を変えてください。合計7回までアプローチを続けてください。
これは心理学におけるザイアンス効果(単純接触効果)を狙った戦略です。継続的に接触機会を持つことで、相手に親近感を抱かせ、信頼関係を築くきっかけになります。
別商品にアプローチする
海外メーカーから拒否された場合でも、すぐに諦める必要はありません。もし連絡が取れる関係性ができているなら、そのメーカーの別の商品にアプローチするのも有効です。
日本市場に適していそうな商品については、積極的に提案してみましょう。同じメーカー内で別の商品が契約につながるケースも少なくありません。
英語での交渉に使える表現と心得





英語で商談するなんてハードルが高そう。ビジネス用の英単語とか知らないし。
初めて英語商談に挑む方の中には、このような疑問を持つ人が多くいます。しかし実際には、ビジネス交渉で最も大事なのは英語力そのものではなく熱意や伝える姿勢であり、完璧な文法で話せなくても問題ありません。
ここでは英語交渉に役立つフレーズ集と、心構えのポイントを紹介します。
交渉で使える英語フレーズ集
商談の場でサッと使える定番表現を紹介します。
提案を切り出す
We would like to propose a partnership to introduce your product in Japan.
日本で御社製品を紹介するパートナーシップを提案させてください
How about launching your product through a Japanese crowdfunding platform as a first step?
まず日本のクラウドファンディングで製品をローンチするのはいかがでしょうか?
相手の要望を尋ねる/条件を探る
What are your sales targets or expectations for the Japanese market?
日本市場での販売目標やご期待はどのくらいでしょうか?
Do you have any concerns about working with a new distributor?
新しい販売代理店と組むことについて何か懸念はありますか?
自社の強みを伝える
We have a strong network in both e-commerce and retail channels in Japan.
当社は日本国内のECと小売両方に強力な販路ネットワークがあります
Our previous crowdfunding project achieved ¥○○ in funding, demonstrating our marketing capability.
前回のクラウドファンディングで○○円の支援獲得実績があり、当社のマーケティング力を示しています
価格交渉をする
Could you consider a distributor price of $X per unit if we order △△ units?
△△個発注する場合、1個あたり$Xの卸値をご検討いただけますか?
To make this viable in Japan, we would need a margin of around ○○%. Is there any flexibility on the price?
日本で事業化するには○○%程度のマージンが必要です。価格面でご調整いただくことは可能でしょうか?
前向きな締めくくり
We are confident that your product will be a hit in Japan, and we are ready to invest our full effort.
御社の商品は日本でヒットすると確信しており、全力で取り組む所存です
Thank you for considering our proposal. We are very excited about the possibility of working together.
ご検討いただきありがとうございます。御社とご一緒できる可能性に大いに胸が躍っております
難しい表現よりも、端的で率直な言い回しの方がビジネスの場では好まれます。また質問を投げかけて相手の意向を聞き出すことも重要です。
ChatGPTを活用した効率的なメール作成
すぐに英語メールで使えるフレーズを紹介しましたが、実際にメールを送る際には、自分たちの状況に合わせて文章を調整する必要があります。もし英語の本文作成に行き詰まった場合は、ChatGPTなどAIを活用してください。
例えば「〇〇というメーカーにクラファン販売の交渉メールを作りたい」と指示すれば、一瞬でカスタマイズされた文章を生成してくれます。ただし、そのままコピー&ペーストするのではなく、必ず自分の言葉で編集を加えることが大切です。
英語交渉の心構え


熱意は言葉の壁を超える
商品にほれ込んだ熱い気持ちを全身で伝えてください。英語に自信がなくても、「この商品が大好きで日本中に広めたいんだ!」という情熱が伝われば、相手は安心して任せたいと思うものです。
例えば海外展示会で出会った商品なら、ブースに何度も足を運んで詳しく話を聞いたり、日本のお土産を持って行ったりするなど、大げさなくらいのアピールが心を動かすこともあります。
自信と誠実さを持つ
交渉の場では萎縮せず堂々と振る舞いましょう。
ビデオ通話で話す機会があるならば、相手の目を見て、笑顔でハキハキと話すだけでも信頼感が違います。たとえ英語がたどたどしくても、自信なさげに下を向いているより、まっすぐ相手を見据えて意思を伝える方が気持ちは届きます。
また、わからないことは曖昧にせず正直に「後で確認させてください」と伝える誠実さも大事です。嘘や誇張は禁物ですが、自社に有利なことは積極的にアピールしましょう。
相手の立場を考える
交渉は相手あってのものです。海外メーカーが何を望んでいるのか想像しながら提案しましょう。
例えば「日本で年○○個売ってくれるなら契約する」という本音があるかもしれませんし、「日本の大手ショップに商品を並べたい」という要望があるかもしれません。
こちらの要求ばかり押し付けず、相手の目的を汲んだ条件提示を心掛けると、「このパートナーと組めば自分たちの目標も達成できそうだ」と感じてもらえます。
常にWin-Win(双方に利益)を意識しましょう。
文化の違いを尊重
ビジネス文化や商習慣の違いにも注意が必要です。国によって契約交渉の進め方やスピード感も異なります。
メールのレスポンスが遅いからといって焦らせすぎない、相手国の祝祭日は避けて連絡する、まずは雑談で打ち解けるなど、相手のペースや文化に合わせる柔軟さも大切です。日本流の丁寧すぎる表現は逆に回りくどいと取られることもあるので、シンプルかつフランクなコミュニケーションを心掛けると良いでしょう。
英語での交渉は総合力の勝負です。細やかな気配りと積極性のある対応で、海外メーカーに気に入られる交渉を心掛けてください。
「NOと言わせない」オファーの組み立て方


交渉を有利に進めるには、相手(海外メーカー)が思わず「Yes」と言いたくなる魅力的なオファーを提示することが重要です。こちらから提案する条件に相手がメリットを感じ、「それなら是非お願いしたい!」と思えば独占契約もぐっと近づきます。
ここでは、海外メーカーも思わず頷きたくなる5つのオファーを解説します。


クラファンでの先行販売&プロモーション
海外メーカーにとって、日本でいきなり商品を売るのは不安もあります。そこで
まず日本最大級のクラファンサイト・Makuakeで先行販売し、プロモーションも兼ねましょう
と提案しましょう。
クラファンなら事前に市場の反応をテストでき、初期コストなしで一定の売上も見込めます。過去に類似商品がMakuakeで成功していれば、その実績データを示しましょう。
昨年、似たコンセプトの商品が1500万円の支援を集めました。御社の商品はさらに高性能なので、きっとそれ以上の成果が期待できます。
と具体的に伝えれば、相手も興味津々になるはずです。
もし相手から
クラファンならKickstarterで一度やったことがあるけど?
と聞かれたら、
日本でクラファンというとMakuakeです。新しいマーケティング手法として、Makuakeでのクラファンが活用できます
と丁寧に説明します。日本におけるMakaukeの有用性を理解してもらえれば、スムーズに交渉を行えます。
日本市場の魅力を徹底的にアピール
海外メーカーと交渉する際は、日本市場の魅力を具体的に伝えることが不可欠です。日本はGDP世界第3位の大市場であり、メーカーにとって新たな収入源となり得ます。
しかし、多くの海外企業は、文化的・言語的な障壁から、日本市場への単独進出に難しさを感じています。そこであなたは、彼らが抱える課題を解決するパートナーとして名乗りを上げます。
我々が日本における総代理として動き、マーケティング、物流、そして顧客対応を全て担当します。御社は何もせずとも、新たな収入源を確保できるのです
といった提案をすることで、メーカーは大きなメリットを感じるでしょう。
大手量販店への営業
メーカーにとって、自社の商品が有名店の店頭に並ぶことは大きな魅力です。そこで
クラファン後はビックカメラや東急ハンズ、LOFTなど日本の有名量販店にも営業を仕掛けます
と提案しましょう。
オフラインでの販路開拓は、大口注文やブランド認知拡大につながるため相手も乗り気になりやすいポイントです。
現時点で取引がなくても「必ず開拓します!」という熱意でOKです。実際、これら大手量販店には新商品提案のウェブ窓口があり(東急ハンズやLOFTの提案フォームなど)、個人ではハードルが高くても卸業者を介せば取引も可能です。
「大手に売り込むなんて個人にできるの?」と不安になるかもしれませんが、そこは将来的なビジョンとして示すだけでも相手への響き方が違います。本気で市場を拡大するために動く、将来のビジネスパートナーとして立候補しましょう。
Amazonなどオンライン販売での展開
オフラインでの販売と同様に、オンラインチャネルの活用も有効的です。
クラファン後はAmazonや楽天といったネットショップでも販売を拡大します
と伝えておきましょう。
今やネットで買い物する消費者は非常に多く、オンライン販売抜きでは大きな売上は期待できません。Amazonや楽天は集客力も高く、在庫とオペレーションさえ整えれば全国どこでも商品を届けられます。
メーカーにとってもオンラインで24時間売れる状況は理想的なので、
日本の主要オンラインモールにも出品し、市場カバー率を高めます
と約束すると良いでしょう。
なお、クラファン支援者へのリターン発送後に一般販売としてAmazon等に在庫を投入する流れになりますが、その際も価格設定や在庫管理でメーカーと協力しながら進めます。
自社ECサイトを構築する選択肢もありますが、まずは既存プラットフォームを活用する方が現実的です。その旨もしっかり説明し、オンライン・オフライン両面で販売拡大に取り組む姿勢を示してください。
東京インターナショナル・ギフトショーへの出展
メーカーにとっての究極オファーとも言えるのが、
日本最大の見本市である東京インターナショナル・ギフトショーに出展します
という提案です。ギフトショーは毎年2月と9月に東京ビッグサイトで開催され、国内外から多数のバイヤーが集まる一大イベントです。


ここに製品を出展できれば、卸売業者や小売店との新規取引が一気に開拓できるチャンスがあります。加えて、
費用はこちらが負担するので、ギフトショーに御社商品を出展しましょう
と持ちかけます。
出展料やブース制作費などそれなりの先行投資になりますが、メーカーからすると費用まで負担してもらえるなら出展しない手はありません。個人事業主で資金に不安がある場合も、既存出展企業に間借りさせてもらう方法や仲間と共同出展(※ギフトショーでは規約上、表向き一社名義になります)といった手段も考えられます。
日本の展示会にも出展する用意があるという熱意ある提案は、メーカーにとって大きな安心材料となるでしょう。
以上5つのオファーは、どれも海外メーカー側のリスクが極力ゼロで、しかも売上拡大の可能性が最大化される内容です。メーカーからすると断る理由のない・NOとは言わせない提案です。
もちろん全てを一度に約束する必要はありませんが、可能な限り多くのメリットを提示し、交渉を有利に進めてください。
利益が出る価格設定と国際輸送の方法


海外商品を仕入れてクラファンで売る際、価格設定は事業の損益を左右する極めて重要なポイントです。闇雲に安く提供して支援者を集めても赤字になっては本末転倒ですし、高すぎて支援が集まらなくても困ります。
ここでは利益を確保しつつ適切な価格を設定する考え方と、計算時に押さえるべきコスト要素を解説します。
価格設定の基本:卸値の3倍で売価を決める
まず大前提として、メーカーからの商品仕入れ価格(卸値)に対して販売価格(小売価格)がどれくらいになると利益が出るかを考えます。一般的な小売業では3掛けという経験則があり、卸値の約3倍が適正な定価と言われます。
仕入れ・卸価格:4,500円
定価:13,500円(4,500×3)
これは卸値が販売価格の30%(=3割)になるイメージで、残り70%が粗利益(経費や利益に充当)となる計算です。
もちろん商品カテゴリーによって適正倍率は異なり、アパレルなどは6掛け(卸値の約6倍が定価)とも言われます。クラファンで扱う頻度の高いガジェットや雑貨系であれば、3倍前後を目安にすると良いでしょう。
卸値の3倍とする理由としては、商品を仕入れてから販売するまでには、輸送費など様々な経費を支払う必要があるためです。単純に「卸値+少しのマージン」では、想定外コストが発生した時にすぐ赤字になってしまいます。
次で説明する費用をすべてカバーし、なおかつ利益を出すには「卸値×3 ≒ 定価」程度が適切な値となります。
クラファンで考慮すべきコスト
価格設定時には以下のような諸経費をすべて織り込んで計算する必要があります。


製品の仕入れ代金(卸値)
商品そのものの価格です。
例えば1個$50(約6,000円)のガジェットを100個仕入れるなら、仕入れ総額は$5,000(約60万円)となります。海外メーカーとの取引では通常ドル建てであり、為替レートの変動もこみして「現在の為替+5~10円」程度で仕入れ値は計算してください。
海外からの輸送費
メーカーから日本まで製品を送ってもらう送料です。航空便か船便か、数量や重量によっても変わりますが、意外と大きなコストになります。
例えば100個で段ボール5箱分なら国際宅配便で数万円~十数万円程度かかるかもしれません。送料も製品単価に上乗せしましょう。加えて、通関手続きや国内配送(自宅や倉庫まで運ぶ費用)も考慮します。
関税・消費税
海外製品を輸入すると、商品によっては関税が課されます。税率は商品カテゴリごとに異なり、雑貨や服飾品だとかかる場合があります(例:革製品は関税〇%など)。一方、パソコン周辺機器や家電製品は無税のものもあります。
関税の有無は事前に税関のサイト等で調べ、必要ならコストに含めます。また輸入時には消費税(現在10%)も課税されますのでお忘れなく。参照:税関
クラファンの手数料
クラファンではMakuakeなどのプラットファームを利用することが一般的であり、プラットフォーム利用料やプロジェクトが成功して支援金が講座に振り込まれる際に支払う手数料が費用としてかかります。Makuakeでは支援総額の20%前後を運営側に支払います。
例えばクラファンで300万円集まったら、約60万円が手数料で差し引かれるイメージです。支援者から別途「システム利用料5%+200円」が徴収される仕組みもありますが、基本的に実行者の取り分は総額の80%程度になります。
この手数料を計算に入れておかないと、支援が集まったが各種費用にお金がかかったためにほとんど手元に利益が残らないという事態になりかねません。CAMPFIRE等他のプラットフォームでも手数料率はだいたい10~20%台ですので、目安20%として見積もりに入れてください。
リターン発送費
支援者へのリターン(商品)発送にかかる費用も考慮します。配送用の箱や梱包材の費用、郵送・宅配便の送料などです。
リターンの支援金額に送料込みにするか別途送料を受け取るかはプロジェクト設定次第ですが、いずれにせよ最終的には支援金からこれら発送コストを負担する形になります。
100人に送るなら送料×100ですし、離島など遠方への追加料金も出るかもしれません。平均して1件あたり数百円~千円台後半の送料がかかるため、その分もマージン内に入れておく必要があります。
国際輸送の方法と選ぶコツ
国際輸送を誰に依頼するかは主に以下の2つの方法があります。
メーカーに依頼する
メーカーがDHLやFedExなどの国際配送業者と契約している場合、彼らに依頼するのが最もスムーズです。
フォワーダー(輸送代行業者)に依頼する
メーカーが対応できない場合は、フォワーダーに依頼することで、メーカーの倉庫から日本まで配送してもらえます。
フォワーダーとは
自らは輸送手段を持たず、他の運送会社の船や飛行機、トラックなどを利用して荷主から貨物を預かり、国際輸送の手配を一貫して行う貨物利用運送事業者のこと
ドイツのDHL、アメリカのFedExなどが有名。
輸送手段は航空便と船便があり、それぞれメリットとデメリットが存在します。
航空便
コストは高いがスピーディー
船便
コストを抑えられるが時間がかかる
クラファンではスピード感のあるリターン発送も重要であるため、スピーディーな航空便をおすすめします。
また、輸送コストを抑えるためには、いかにコンパクトなパッケージにするかが重要になります。国際送料は実重量と容積重量のどちらか重い方で計算されます。1個あたりの重量が軽い商品はパッケージサイズを小さくすることで、国際送料を抑えることができます。
マーケティング・広告費
クラファンを成功させるにはプロジェクト公開前後の宣伝も重要です。SNS広告やMeta広告、PR記事作成、プロモーション動画制作費など、集客・販促にかかる費用も見込んでおきましょう。
例えばMeta広告を代理店に依頼すれば月10万円ほどかかることもあります。必ずしも多額の広告費が必要とは限りませんが、おすすめとしてはクラファン目標金額の1割程度は広告費用に回してください。
利益(純利益)
クラファン成功後の一般販売の原資や、新たな商品開発への投資、ビジネス継続のために利益をしっかり残してください。
上記コストをすべて差し引いたうえで黒字が出る価格にする必要があります。どれくらいの利益率を狙うかは戦略次第ですが、支援金額の30%は利益くらい残せると優秀です。
クラファンの利益シュミレーション
具体的に損益計算シミュレーションしてみましょう。例えば以下条件で仕入れ~クラファンをおこなったとします。
商品仕入れ原価(送料・関税込含む):1個あたり6,000円
その他経費(梱包・広告等換算):1個あたり1,000円
合計コスト:7,000円/個
リターン価格:12,000円/個
支援総額から手数料20%が差し引かれるので、実質受取額は9,600円/個(=12,000円×0.8)です。
そこからコスト7,000円を引くと、一個あたり2,600円(=9,600円-7,000円)が利益となります。利益率で言えば約27%です。概ね30%近い利益が出ているので悪くありません。
もしリターン価格を10,000円に設定した場合、受取8,000円、利益1,000円(利益率10%強)しか残りません。逆に15,000円に設定すれば受取12,000円、利益5,000円(利益率40%超)となりますが、あまり高すぎると支援が集まらなくなるリスクがあります。このバランス感覚が価格設定には求められます。
クラファンでは早期割引(超早割・早割)を設けて段階的に価格を上げていく手法も一般的です。
超早割で9,800円(利益度外視ぎりぎり)、早割で10,800円(少し利益あり)と安めのリターン設計を設けることで「安いうちに買っておこう」という支援者の購買欲を刺激します。
早期割引の戦略を取る場合も、最終的な平均単価で利益が出ればOKです。超早割は宣伝広告費と割り切って利益ゼロか若干赤字でも、後の支援枠で充分カバーできる計算にします。
一般販売を見据えた価格設定の考え方
リターン価格は一般販売に繋げることも考慮して設定してください。
クラファンでは支援者との信頼のため、終了後一定期間は支援価格より安く一般販売しない取り決めがあります。クラファンで安く売りすぎて後で値上げすると、支援者が損したとなりかねません。また、一般価格が高すぎて、クラファンでしか売れない商品にしてはいけません。
理想は「クラファン支援者はちょっとお得、でも一般販売しても納得の価格」というラインです。
初期費用を抑える交渉テクニック
海外メーカーとの交渉では、ちょっとした工夫で初期費用をぐっと抑えることができます。ここでは初心者の方でも実践しやすい交渉ポイントを解説します。


MOQ(最小発注数)の調整
海外メーカーは「MOQ(Minimum Order Quantity:最小発注数)」という条件を提示してくることが一般的で、数百~千個の仕入れとなることも珍しくありません。しかし、初心者がいきなり数千個を仕入れるのはリスクが大きいため、まずはこう提案しましょう。
クラファンで売れた分だけ発注させていただけませんか?
クラファンの最大のメリットは無在庫販売ができることです。つまり、先にクラファンでお客さんから支援を集め、注文のあった数だけメーカーに商品を発注することになります。
メーカーにとっても確実に売れる分を生産できるので、前向きに受け入れてくれる場合があります。
独占販売期間の設定
海外商品を日本国内で販売する場合、日本での独占販売契約を結ぶことが重要です。理由としては、メーカーが他社とも契約を結んで国内で販売すると、価格競争となってしまうためです。
独占販売契約を結ぶとき、永続的な独占権を主張するのではなく、まずは期間を区切りましょう。期間の目安は以下程度がおすすめです。
欧米メーカー:半年〜1年
中国メーカー:3か月程度
例えば、「Makuakeでの展開期間中だけ、独占販売契約をいただけませんか?」と提案すれば、相手もリスクを小さく感じ、交渉がスムーズに進みやすくなります。
認証コストの負担を要請する
日本で電化製品を販売するには、PSE認証(電気用品安全法)や技適(電波法の認証、TELEC)といった認証が必要になる場合があります。これらの認証には費用がかかりますが、メーカー側に負担してもらえるよう交渉しましょう。
認証は商品自体に付随するものなので、御社で対応いただけますか?
自分で負担してしまうと数十万円規模のコストになることもあるため要注意です。
支払い条件を前金100%にしない
海外取引では前金100%を求められるケースもあります。しかし、これは初心者にとって大きな負担です。
一般的には、「前金:30%・残金:納品後に70%」という条件が多く使われています。もし初回から100%前払いと言われたら、
初回はせめて30%前金、残りは納品後にお支払いさせてください
と交渉してください。
ここままでのやり取りで信頼関係を築けていれば、相手も柔軟に対応してくれます。
契約書の重要性と盛り込むべきポイント


海外メーカーとの契約(独占販売契約)を結ぶ際は、契約書(Contract)を必ず取り交わしましょう。口約束やメールのやり取りだけでは後々、言った言わないのトラブルになりかねません。
契約書は双方の権利義務を明文化したビジネスの安全網です。英語での契約書となりますが、内容をしっかり確認して納得してからサインしてください。
ここでは、契約書の重要性と、特に注意すべき条項を解説します。


独占販売権を明記する
契約書上で自分たちに与えられる権利が「Exclusive Distribution Right(独占販売権)」であることを明確にしましょう。
文言としては「appoint Your Company as the exclusive distributor in Japan」といった形で、日本国内における唯一の販売代理店に指名する旨が盛り込まれている必要があります。Exclusive ではなく「non-exclusive(非独占)」になっていないか要チェックです。
またDistributor(販売店)としての契約か、Agent(代理人)としての契約かでも意味が異なります。通常、商品を仕入れて販売するモデルならDistributor/販売契約です。Agentと書かれていると手数料ベースの代理店扱いになる可能性があるため、自社に有利な形になっているか確認しましょう。
独占の範囲を明確にする
契約書には独占の対象製品と独占エリア(地域)を特定して記載します。
例えば「Manufacturer’s ABC product line in the territory of Japan」といった具合です。範囲があいまいだと、このシリーズは含まれない、ネット販売は対象外など齟齬が生じかねません。
メーカー側が作成した契約書だと自社に有利な記載になっていることも多いので、こちらの希望とズレがあれば交渉して修正をおこなってください。契約書は最初のたたき台に過ぎず、お互い合意するまで協議を重ねましょう。
契約期間と更新期限を設ける
独占契約には有効期間を設けるのが一般的です。
例えば、契約期間:2年間(以降双方合意で更新可能)などです。期間を区切ることで、メーカー側も約束の売上が達成されなければ他社に切り替える等の選択肢を残せますし、あなたとしても将来条件見直しの交渉ができます。
同様に契約期間満了時の更新手続き(自動更新かどうか)も確認しましょう。
販売ノルマ(最低購入数量)を交渉する
独占で販売権をもらう代わりに、メーカーから年間○○個仕入れることといった最低購入義務を課される場合があります。
これはメーカー側のリスクヘッジですが、ノルマが高すぎないか注意です。無理な数量を約束して達成できないと、契約違反で独占権を失ったり、ペナルティを負う可能性があります。
例えば最初の半年~1年はノルマ無しの試用期間にする、低めの数量から始め徐々に増やす取り決めにする、など柔軟に提案します。
逆に契約書にノルマ条項がない場合、あなたとしては助かりますが、メーカー側は不安かもしれません。そんな時は「最低〇〇個は販売を保証する」旨をこちらからコミットすれば信頼度が上がります。
価格と支払い条件の確認
仕入れ価格(卸値)や支払い条件も契約で定めます。
例えば「卸値○ドル/個、初回注文△△個、以降追加注文は◻◻個単位」「支払いはT/T(電信送金)にて出荷前50%、残り出荷後◯日以内」等です。為替変動による価格見直し条件も入れておくと安心です。
通貨は米ドルやユーロが多いですが、将来的に円建てにしてもらえるかなども相談ポイントです。
知的財産の取り扱いを明確化する
契約書には知的財産権(Intellectual Property)に関する条項も含まれます。具体的には、商標(ブランド名やロゴ)の使用許諾、製品画像や資料の使用許可などです。
クラファンページやプロモーションでは、メーカーの画像やロゴを使う機会があるため、マーケティング目的での素材使用を許可する旨を明記してください。
日本国内で商標登録が必要な場合(メーカーが日本では未登録の場合)、どちらが出願するかも話し合っておきます。あなたが代理で登録するケースもありますが、その場合の費用負担や権利帰属についても取り決めが必要です。
特許やデザインに関してはメーカー側の責任範囲ですが、万一第三者の知財権侵害クレームが出たときの責任(製造物責任や訴訟対応など)についても触れていると望ましいです。
トラブル時の責任分担も契約で定められます。基本は、製品自体の瑕疵や第三者権利侵害はメーカー保証等を確認します。
契約解除条件
独占契約とはいえ永遠ではありません。どんな場合に契約を解除できるかという条件を明示しておきます。
例えば、一方が契約違反し是正されない場合解除可能、◯◯ヶ月前通知で解除可能などです。特によくあるのは、あなたが販売実績を全く上げられない場合にメーカーが契約を打ち切るパターンです。
契約解除となったら未出荷分の注文はキャンセルになるのか、在庫の買い戻しはあるのか、といった細かい取り決めもあれば安心です。
また裁判管轄(相手国の裁判所とすることが多い)や準拠法(相手国法か日本法か)など法律事項も条項として記載されます。ここは弁護士レベルの内容ですが、一応目を通し、不明点は専門家に相談すると良いでしょう。
契約書に盛り込む11要素
契約書に記載すべき11の重要項目は以下の通りです。
契約書はビジネスの安全装置です。
お互い納得した上で署名するからこそ、後で問題が起きても契約書に立ち返って解決できます。「面倒だからとりあえずサイン」は絶対に避け、疑問点は遠慮なく相手に質問し、お互いの納得する契約書を作成してください。
並行輸入品や知的財産などの注意点


海外メーカーと独占契約を結び正規代理店となれば、日本市場で自分だけがその商品を扱える立場になります。しかし、実際のビジネスでは並行輸入品やPSE認証など他法令の問題にも気を配る必要があります。
ここでは、独占販売の交渉を進める上で注意したいポイントを解説します。
並行輸入品の意味と問題点
並行輸入品とは、正式な代理店ルートではなく海外の小売店や他国の代理店から商品を仕入れて販売されるものを指します。要するに正規品(あなた経由の商品)ではないけれど、本物という商品です。
独占販売権を持っていても、第三者が例えばアメリカのショップでその商品を買い付け、日本に輸入販売すること自体は合法的に行われる可能性があります。日本では、並行輸入は原則合法とされています。
並行輸入品が国内市場で出回ると、価格競争で問題が生じます。正規代理店として適正価格で売っている商品を、並行輸入業者が安く販売すると市場での価格が崩れてしまいます。
また、並行品はメーカー保証が受けられなかったり日本語説明書が無かったりと消費者に不利益が生じる場合もあります。結果としてブランドイメージの低下にもつながりかねません。
並行輸入品への対策
並行輸入品の問題を防ぐために、まずは契約上でメーカーに釘を刺してください。契約書に「メーカーは日本向けには当社を通じてのみ供給し、他ルートで日本に供給しない」と約束させる条項を入れましょう。
他国の代理店にも、「日本には出荷しないで」とメーカーから注意してもらうよう依頼します。絶対に防げるとは言えませんが、メーカー自身がコントロールしてくれればかなりリスクは減ります。
また、商標権活用することで、並行輸入品を牽制できます。仮にメーカーのブランドが日本で商標登録されていれば、商標権者(通常メーカー)が並行輸入品販売者に対し商標権侵害で差し止めを求められるケースもあります。ただし商標権者と海外販売者が同一の場合は適用されない等、法律上の条件があります。
もしメーカーが日本で商標未登録なら、あなたが代理で出願し権利を確保しておくのも有効的です。その場合、並行輸入業者による商標の無断使用を牽制できる可能性があります。
もっとも、これは法的な話なので具体的には専門家と相談してください。実務的には、日本総代理店は自分だと市場に認知させることが大切です。公式サイトやプレスリリースで、当社が正規代理店ですと宣言し、正規品には日本語サポートや保証が付くことをアピールします。
消費者から見ても正規ルートで買うメリットがあるとわかれば、多少高くても選んでもらえます。並行輸入品とは品質やサービス面で差別化し、価格以外の価値を提供しましょう。
事前に国内市場の並行輸入品をリサーチする
メーカーと並行輸入品を防ぐための契約を結ぶと同時に、すでに国内市場で並行輸入品が出回っていないかのチェックもおこなってください。Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなどで、同商品が売られていないかを確かめます。
もし並行輸入品を見つけた場合、以下の対策をこうじてください。
Amazonや楽天で並行輸入品が不法に流通していることをメーカーに伝え、
我々が独占契約を結ぶことで、知的財産権を侵害しているセラーを排除し、ブランドイメージを守る手伝いができます
と提案することで、問題を解決するオファーとして交渉を有利に進めることができます。
技適・PSEなど法令遵守
クラファンで日本国内向けに販売する場合、日本の法規制に注意する必要があります。
電波を発する機器であれば技適マーク(技術基準適合証明)、電気製品であればPSEマークなど、日本で販売するための認証が求められます。
食器や調理器具などは食品衛生法の対象となり、安全性の検査や届出が必要です。食品は成分や添加物の基準、食器は材質や鉛・カドミウム溶出試験など、規格を満たしていなければ販売できません。
化粧品や医療機器は薬機法(旧薬事法)の対象となり、輸入販売には製造販売業許可や製品ごとの承認が必要です。化粧品は成分表示や効能表現に厳しい制限があり、医療機器はクラス分類に応じて承認手続きが異なります。
対象製品 | 適用される法規制 | 必要なマーク/書類 |
電気製品 | PSE法(電気用品安全法) | PSEマーク |
電波を使う製品 | 電波法 | 技適マーク |
食品・食器類 | 食品衛生法 | 検査証明書 |
化粧品・医療機器 | 薬機法(旧薬事法) | 許認可・届出 |
Makuakeなどクラファンプラットファームを利用する場合、プラットフォームによる審査があります。上記法令に基づいた認証を取得しているかどうかは、証明書を提示して確認しなければなりません。
各種法令は日本の基準に準拠している必要があり、仮にメーカーが海外で認証を取得していても、日本向けに改めて取得する必要があります。
認証取得には費用がかかりますが、メーカー側に負担を依頼したり、交渉の中で分担方法を検討することも可能です。国内での一般販売を視野に入れるなら、必要な初期投資として前向きに提案すると良いでしょう。
海外メーカーとは長い付き合いを見越した契約を心がける


クラファンはあくまでも日本市場展開のスタート地点です。一度きりの取引で終わらせず、長期的なパートナーシップを築くことで、ビジネスを大きく成長させることができます。
クラファン成功後の展開プラン
クラファンが成功したら、次のステップに進みましょう。
- 一般販売への移行
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Amazonや楽天市場などで通常販売を開始しましょう。クラファンでの実績があれば、商品ページの信頼性も高まります。
- 実店舗への営業
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クラファンの実績を武器に、ビックカメラ、ロフト、東急ハンズなどへ積極的に営業をかけましょう。「Makuakeで〇〇万円達成」という実績は強力な営業ツールになります。
- 次回作のクラファン
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同じメーカーの別商品や改良版でのクラファンも検討してください。一度成功したメーカーとは、2回目以降の交渉がスムーズに進むケースが多いです。
信頼関係構築のコツ
長期的な関係を築くには、以下の点を意識しましょう。
- 定期的な売上報告
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月次で販売状況や市場のフィードバックを共有する。
- 顧客の声を活用
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日本の消費者からの意見をメーカーに伝え、日本市場に合わせた商品改良を提案する。
- 展示会への招待
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東京インターナショナル・ギフトショーなどに招待し、日本市場を肌で感じてもらう。
クラファンを通じて、双方にメリットがあるWin-Winの関係を築くことを心がけましょう。
まとめ


海外メーカーとの交渉は、国内市場のリサーチから始まり、営業メール、商談、契約締結へと進んでいきます。
特に初心者の方は、最初の営業段階でつまずくこともあるでしょう。しかし、本記事で紹介したテンプレートを参考に、まずは1,000件のメーカーにメール営業をかけてみてください。
返答のあったメーカーには、「相手のメリットを考える」「情熱を持って伝える」ことを意識し、互いにWin-Winとなる関係性を築いていきましょう。
とはいえ、いきなり本記事の内容を自社だけで実行することは簡単ではありません。弊社LeaguEでは、海外商品のリサーチや海外企業との交渉、その後のクラファン実施までを含めたフルサポート体制を整えています。クラファンの企画から実施まで、無料でご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。
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