「魅力的な海外商品を見つけたけど、日本での売れ方がわからない」
「物販は知ってるけど、海外からの輸入はわからないから怖い」
「クラウドファンディングって難しそう」
副業や個人での起業が当たり前となり、輸入物販やクラウドファンディングという手段に注目が集まっています。中でも、この輸入物販とクラウドファンディングを組み合わせた輸入クラファン物販は、在庫リスクを抑えつつ、海外のユニークな商品を日本で販売できるため、新規事業を模索する経営者や、副業で新たな収入源を確保したい個人事業主にとって、大きな可能性を秘めています。
しかし、いざ始めようとすると専門用語が多く、戸惑われる方も少なくありません。
そこで本記事では、海外からの商品輸入、物販ビジネス、そしてクラウドファンディングの各分野で使われる用語を、初心者の方にもわかりやすく解説します。海外製品の発掘からクラウドファンディングの成功、そして長期的な販路構築まで、必要な知識を体系的にまとめました。
輸入クラファン物販の基本用語

まずは、輸入クラファン物販の根幹をなす基本的な言葉を解説します。
輸入クラファン物販(Import Crowdfunding Product Sales)
海外メーカーから商品を輸入し、クラウドファンディングのプラットフォームで先行販売という形で資金調達を行うビジネスモデルです。まだ日本で販売されていない海外製品の独占販売権を得た上で、プロジェクトとして発表し、目標達成後に商品を仕入れて販売します。
クラウドファンディング(Crowdfunding)
crowd(群衆)とfunding(資金調達)を組み合わせた造語で、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を調達する仕組みです。
従来の銀行融資や投資家からの出資とは異なり、プロジェクトの内容や理念に共感した一般の支援者から、少額ずつ幅広く資金を募ることができます。新規事業にとって、市場検証と資金調達を同時に行える革新的な手法として注目されています。
クラウドファンディングは、資金調達の方法や支援者へのリターンの形式によって、大きく4つの種類(購入型、寄付型、金融型、不動産型)に分けられます。その中で、輸入クラファン物販では購入型クラウドファンディングを活用します。
購入型クラウドファンディング (Reward-based Crowdfunding)
支援者が金銭ではなく商品やサービスをリターンとして受け取る最も一般的な形式です。
新商品の開発費を募り、完成した商品を支援者に提供する仕組みで、実質的には先行予約販売に近い性格を持ちます。市場検証の機会としても活用でき、新規事業者にとって特に有効な手法です
プロジェクト (Project)
クラウドファンディングサービス上で公開される、資金を募るための企画、商品、または活動全般を指します。
プロジェクトはプロジェクトオーナーが実現したいアイデアや目標を、ストーリーやビジョンと共に詳細に紹介する場です。単にモノやサービスを提示するのではなく、なぜそのプロジェクトが必要なのか、どんな未来を実現したいのかといった物語を伝えることが、支援者の共感を呼び、成功へと繋がる鍵となります。
無在庫販売(Product Sourcing Drop Shipping)
商品を事前に在庫として持たずに、注文が入った後に仕入れる販売方法です。クラウドファンディングと物販を組み合わせることにより、その効果を発揮します。
クラウドファンディングのプロジェクトが目標金額に達し、支援者からの資金が確定した後に商品をメーカーに発注するため、あらかじめ在庫を抱える必要はありません。これにより初期投資を抑え、在庫滞留による損失リスクを大幅に軽減できます。
ただし、プロジェクト成功後には発注・輸入・配送のプロセスが発生し、サプライチェーン上のリスク管理が重要になります。
テストマーケティング(Test marketing)
本格的な市場投入の前に、クラウドファンディングを通じて実際の市場需要を検証することです。
プロジェクトページへの反応や支援額は、消費者のニーズを直接的に示す貴重なデータとなります。
メーカーとの独占販売権契約(Exclusive Distribution Rights Agreement)
商品の製造メーカーと交わす契約で、特定の地域(例:日本国内)での独占的な販売権を獲得するものです。
クラウドファンディングにおいて独占販売権を持っていることをアピールすることで、限定性や希少価値を強調でき、支援者の関心を高める効果があります。
OEM(Original Equipment Manufacturer)
海外メーカーに製造を委託し、自社ブランドのオリジナル商品を開発するモデルのことをさします。
既存商品の独占販売権を得るモデルとは異なり、より独自性の高いプロジェクトが実現可能です。一方、開発費用がかかるなど、リスクも大きくなります。
輸入・貿易実務関連用語

輸入クラファン物販で成功するためには、魅力的な海外商品を見つけ、メーカーと良好な関係を築く準備プロセスが重要です。ここでは海外との交渉や商品リサーチで登場する用語をまとめています。
商品リサーチ(Product research)
海外のクラウドファンディングサイトや展示会、B2Bプラットフォームで、日本市場に適した有望商品を探す活動全般を指します。
海外の主要クラウドファンディングプラットフォーム
クラウドファンディングは欧米を中心に急速な発展を遂げており、日本のプラットフォームを凌駕する規模と実績を持つプラットフォームが数多く存在します。海外の主要プラットフォームでは、数億円から数十億円規模のプロジェクトも珍しくなく、グローバルな資金調達と市場開拓の双方を実現する強力なツールとなっています。
Kickstarter(キックスターター)

世界的に最も有名で大規模なクラウドファンディングプラットフォームの一つです。
アート、デザイン、テクノロジー、ゲームなどクリエイティブなプロジェクトに特化しており、全世界に多数の支援者を抱えています。オールオアナッシング方式を採用し、掲載基準が比較的厳しく、質の高いプロジェクトが求められます。
グローバルな展開を目指すクリエイティブプロジェクトに適しています。
Indiegogo(インディーゴーゴー)

Kickstarterと並ぶ大規模な海外プラットフォームで、テクノロジー製品からクリエイティブ分野まで幅広いプロジェクトを扱っています。
オールオアナッシング方式とオールイン方式の両方に対応しており、特にオールイン方式のプロジェクトが多いのが特徴です。募集期間終了後も継続して資金調達や製品販売が可能なInDemandという機能もあります。
比較的審査基準が緩やかで、日本語サポートも提供されているため、初めて海外クラウドファンディングに挑戦する事業者にも利用しやすいでしょう。
InDemand
InDemand(インデマンド)は、Indiegogoで目標金額の達成に成功したプロジェクトが、クラウドファンディングのキャンペーン期間終了後も引き続き資金調達や商品販売を続けられるサービスです。
その他主要海外プラットフォーム
zeczec(ゼクゼク)
台湾最大級のクラウドファンディングプラットフォーム(2012年設立)。
日本の商品・サービスへの関心が高く、緻密で手の込んだもの・日本のサブカルが特に人気。
2022年にCAMPFIREと提携し、日台のプロジェクト相互展開を促進している。
Wadiz(ワディズ)
韓国最大のクラウドファンディングサービス
IoT関連製品やガジェット分野が特に好調
おすすめのクラウドファンディングプラットフォームについてはついては、こちらの記事でより詳しく解説しています。
Alibaba(アリババ)
中国最大のB2Bプラットフォームです。
工場直接取引で低コスト調達が可能というメリットがあります。一方、品質管理と認証取得に注意が必要です。
メーカー交渉(Manufacturer negotiation)
独占販売権を得るための海外メーカーとの交渉プロセスのことです。
自社の事業内容を示すウェブサイト(英語が望ましい)を準備し、商品への情熱や具体的な販売戦略を伝えることが重要です。メールでのアプローチから、SkypeやZoomでのオンライン商談を経て契約に至るのが一般的です。
MOQ (Minimum Order Quantity – 最低発注数量)
メーカーが設定する、一度に発注しなければならない最低限の数量のことです。
この数量を基準にクラウドファンディングの目標金額を設定し、メーカー側には、プロジェクトが成功したらMOQを発注するという条件で交渉することが、在庫リスクを避ける上で重要になります。
サンプル取得 (sample acquisition)
本格的な発注前に、商品の品質や仕様を確認するためにサンプル品を取り寄せることです。
写真だけではわからない細部をチェックし、不良品リスクを事前に軽減するために不可欠なプロセスです。
法律・認証・税関の重要用語

プラットフォームとの独占契約(Exclusive Agreement)
クラウドファンディングのプラットフォームと実行者の間で交わされることがある契約の一種で、特定の期間内は他のプラットフォームや販売チャネルでは製品を販売しないという約束です。
例えばMakuakeでは、配送完了までの間はMakuake以外の販路で販売することを禁止しており、配送完了後3ヶ月間はプロジェクトページに記載の価格より安い価格で販売しないことを約束するよう求めています。
知的財産権(特許権、意匠権、著作権、実用新案権、商標権)(Intellectual Property Rights)
クラウドファンディングで新製品やサービスを提供する際に関わる重要な権利です。
特許権
自然法則を利用した新規で高度な技術的発明を保護する権利です。保護期間は出願から20年です。
意匠権
製品の外観デザインを保護する権利で、見た目の美しさや独創性を守ります。保護期間は登録から最長25年です。
著作権
思想や感情を創作的に表現した著作物(文章、音楽、画像など)を保護する権利です。著作者の死後70年まで保護されます。
実用新案権
物品の形状、構造、組み合わせに関する技術的アイデアを保護する権利です。特許より審査が簡単で、保護期間は出願から10年です。
商標権
商品やサービスを区別するためのマークやロゴを保護する権利です。更新することで半永久的に保護が可能です。
PSEマーク・技適マーク・食品衛生などの認証(Certification)
製品を安全に販売・流通させるために必要な各種認証です。
PSEマーク
電気用品安全法に基づき、電気用品(家電、ガジェット、ACアダプターなど)の安全性を証明するマークです。対象製品を日本で販売するには表示が義務付けられており、認証取得には数十万円の費用と数ヶ月の期間がかかることもあります。
技適マーク
電波法に基づく技術基準適合証明のマークです。BluetoothやWi-Fiなど無線通信機能を持つ機器を日本国内で使用・販売する場合に必須です。
食品衛生法
食品、添加物、食器、調理器具、容器包装などを輸入・販売する際に適用される法律です。対象商品を扱う場合、クラウドファンディングの申請時に検査結果の提出を求められることがあります。
PSCマーク
消費生活用製品安全法に基づき、消費者の生命や身体に危害を及ぼす可能性のある製品(圧力鍋、乳幼児用ベッド、レーザーポインターなど)に表示が義務付けられているマークです。
税金・お金関連
関税(Customs Duty/Tariff)
関税とは、国境を越えて物品の輸出入が行われる際に、各国政府が課す税金のことです。
主に輸入品に課される輸入関税を指すことが一般的で、海外の製造会社から購入した商品を輸入する際に支払う必要があります。
輸入消費税(Import Consumption Tax)
国際取引で発生する税金の一種で、輸入品に対して課される消費税のことです。
クラウドファンディングで海外から製品を輸入する際、商品価格に加えて輸入消費税がかかることがあります。
通関手続き(Customs clearance)
税関での輸入申告、検査、税金納付の一連のプロセスのことです。
複雑な場合は通関業者への委託を検討しましょう。
インボイス(Invoice / 仕入書 / 商業送り状)
輸出者が輸入者に宛てて作成する積荷の明細書兼請求書のことです。品名、数量、価格、取引条件、出荷地、着地などが記載され、通関手続きと関税計算の基礎となる重要書類です。
パッキングリスト(Packing List / 包装明細書)
商品の梱包内容を示す書類のことです。輸出貨物の個数、包装後の重量・容積、荷姿などが記載されており、インボイスと兼用することも可能です。
HSコード(Harmonized System Code / 輸出入統計品目番号)
あらゆる貿易対象品目を分類する世界共通の6桁コードです。日本では9桁(統計細分3桁を追加)、アメリカでは10桁で使用される。関税率と原産地規則の決定基準となります。
関税分類
HSコードごとに定められた関税率に基づく商品分類のことです。正確な分類が関税額計算に直結するため、初回輸入時は事前教示制度の利用を推奨されています。
事前教示制度
税関に対して事前にHSコードや関税率の確認を求める制度です。初めての品目輸入時の活用により、後の更正処分や修正申告リスクを回避できます。
輸入許可証
税関から交付される輸入手続き完了の証明書のことです。この交付により貨物の引き取りが可能となります。
インコタームズ (Incoterms)
貿易取引における費用負担や危険負担の範囲を定めた国際的な規則のことです。
FOBやCIFといった条件によって、輸出者と輸入者のどちらがどこまでの輸送費やリスクを負うかが決まります。
CIF価格(Cost, Insurance and Freight)
商品価格に保険料と運賃を含めた貿易取引価格のことです。関税計算の基準となり、物流費は工場引取りから港までの運送費、港湾費用、輸出通関費用、海上運賃まで含みます。
FOB価格(Free On Board)
商品代金と港までの運送費、港湾費用、輸出通関費用までを含む価格のことで、海上運賃と海上保険は含まれません。
主要クラウドファンディングプラットフォーム

国内には多種多様なクラウドファンディングプラットフォームが存在し、それぞれ得意とするプロジェクトのジャンル、資金調達方式、手数料、サポート体制などが異なります。ご自身のプロジェクトに最適なプラットフォームを選ぶことが重要です。
ここでは、輸入クラファン物販で利用しやすい、国内の主要プラットフォームとその特徴について解説します。
国内プラットフォーム
クラウドファンディングは米国を発祥とし、世界的に拡大してきた資金調達手法ですが、日本においても2011年頃から独自のプラットフォームが次々と誕生し、国内市場が急速に成長しています。
日本市場に特化したプラットフォームは、日本語サポートの充実や国内法規制への対応、日本人の価値観や購買行動に適したUI/UXの提供など、日本のユーザーに最適化されたサービスを展開しています。
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

累計プロジェクト数・10万件以上、支援総額・980億円以上、会員数・1200万人以上など、国内最大級のクラウドファンディングプラットフォームで、ジャンルを問わず非常に幅広いプロジェクトが掲載されています。
購入型が中心で、オールオアナッシング方式とオールイン方式の両方に対応しています。専任担当者によるサポートも充実しており、初心者にもおすすめです。
CAMPFIREはクリエイターのデザインアイデアを元に商品化を目指すSPA(製造小売)型のCAMPFIRE Creationや、月額課金制でファンから継続的な支援を募るCAMPFIRE Communityといった多様なサービスも展開しています。
CAMPFIREコミュニティ
継続課金型のクラウドファンディングサービスです。
コミュニティオーナー
継続型コミュニティの運営者のことを指します。
メンバー特典
月額支援者向けの継続的なリターンが提供されます。
アクティビティ
コミュニティ内での投稿・更新情報のこと。
Makuake(マクアケ)

新しい商品やサービスの創出に強みを持ち、特にPR力に長けたプラットフォームです。
自らを単なるクラウドファンディングではなく応援購入サービスと位置づけ、支援行為を応援購入と呼んでいます。毎月多数のメディア掲載実績があり、プロジェクトのメディア露出を重視する事業者にとっては魅力的です。
革新的な製品の市場投入や、その後の一般販売に向けたマーケティング効果を期待するプロジェクトに適しており、0次流通(市場に出る前のテスト販売や初期顧客獲得の場)という独自の概念も提唱しています。
応援購入
Makuakeの中核概念で、応援の気持ちを込めた購入行動を指します。
サポーター
Makuakeにおける支援者の呼称
0次流通
一般販売前の市場という概念のこと。
キュレーター
Makuake専任のプロジェクトサポートスタッフのこと。
GREEN FUNDING(グリーンファンディング)

CCC(TSUTAYA)グループが運営するクラウドファンディングプラットフォームで、特にガジェットやプロダクト系のプロジェクトに強みを持っています。家電製品や日用品など、新しいテクノロジーを活用した製品やデザイン性の高いアイテムが多く見られます。
プロジェクトの成功率を重視しており、80%以上という高い成功率を誇るとされています。
CCCグループの蔦屋家電+などの店舗と連携し、プロジェクト製品を展示する機会を提供することもあります。
Kibidango(きびだんご)

クラウドファンディング型ECサイトと位置づけており、従来のクラウドファンディングプラットフォームとは異なる独自の価値提案を行っています。プロジェクトで誕生したモノはその場で商品としてすぐに販売することが出来ます。
手数料は10%と他のクラウドファンディングプラットフォームの中でも安く、成功率80%の高いプロジェクト成功率を誇ります。
プロジェクト実行・運営編

クラウドファンディングの実行方法については、こちらの記事でより詳しく解説しています。
プロジェクト方式
オールオアナッシング方式 (All-or-Nothing Method)
募集期間内に目標金額に達した場合にのみ、集まった資金をプロジェクトオーナーが受け取れる方式です。

もし目標金額に1円でも満たなかった場合は、プロジェクトは不成立となり、集まった資金は全額支援者に返金されます。プロジェクト実行に最低限必要な資金が明確な場合に適しており、支援者にとってはリスクが低い一方、プロジェクトオーナーには目標達成への強いプレッシャーがかかります。
オールイン方式 (All-in Method)
募集期間内に目標金額に達しなくても、集まった資金をプロジェクトオーナーが受け取ることができる方式です。

たとえ1円でも支援があればプロジェクトは成立と見なされます。目標金額達成よりも、少額でも確実に資金を確保したい場合に選択されることがあります。支援者は、目標未達でもプロジェクトが実行される可能性があることを理解しておく必要があります。
プロジェクト関連
プロジェクトページ(Project Page)
クラウドファンディングプラットフォーム上で、プロジェクトの詳細、目標、リターン、資金使途などを紹介するウェブページです。

このページは、プロジェクトの顔であり、潜在的な支援者に対する最初の、そして最も重要なアピールの場となります。プロジェクトページ作成に頻出する用語は後述。
プロジェクトオーナー・実行者(Project Owner/Creator/Executor)
クラウドファンディングプロジェクトを企画・立案し、実際に運営する個人または団体のことです。

プラットフォームによって呼び方が異なり、海外のクラウドファンディング・KickstarterではCreatorと呼ばれます。プロジェクトの成功は実行者の信頼性、熱意、実行力に大きく左右されるため、プロジェクトページでの自己紹介や実績の提示が重要です。
支援者・バッカー(Supporter/Backer)
支援者はプロジェクトに共感し、資金を提供する個人または団体を指します。
海外のプラットフォームではBacker(バッカー)やFunder(ファンダー) と呼ばれることもあります。Makuakeではサポーターという呼称も用いられます。
プロジェクトの支援者数はプロジェクトページ内で表示され、どれほどの人気が集まっているかが可視化されています。

支援者の支援動機は様々ですが、多くの場合、金銭的な見返り以上に、プロジェクトの目的への共感やプロジェクトオーナーの情熱を応援したいという気持ちが大きな要素となります。
リターン(Return/Reward)
支援者へのお返しとして提供される商品、サービス、体験などを指します。

完成した製品の先行提供、特別な体験への招待、名前のクレジット掲載など、その内容は多岐にわたります。単なる対価ではなく、支援者の期待感を高め、プロジェクトへの参加意識を深める戦略的なツールとしての側面も持っています。
目標金額(Target Amount/Funding Goal)
プロジェクトオーナーが、プロジェクト実行のためにクラウドファンディングで集めたいと設定する資金の総額です。

この金額を達成することが、プロジェクト実現の一つの目安となります。
支援総額(Total Funding Amount)
プロジェクトの募集期間内に集まった資金の合計額です。

目標金額を上回る場合も多く、その場合は「達成率○○%」などと表現されます。
支援総額はプロジェクトの人気や市場からの評価を表す一つの指標であり、高い支援総額を記録したプロジェクトはメディアで取り上げられる機会も増えます。
募集期間(Campaign Period)
プロジェクトオーナーが設定する、支援を募集する期間のことです。

クラウドファンディングでは、この期間内に目標金額の達成を目指して、支援を募集します。プラットフォームによって設定できる期間は異なり、例えばCAMPFIREでは1日から79日の間で設定可能です。
この期間中、プロジェクトオーナーは積極的に情報発信を行い、支援の輪を広げていく必要があります。
ストレッチゴール/ネクストゴール(Stretch Goal/Next Goal)
プロジェクトが当初設定した目標金額を達成した後に、さらなる資金調達を目指して設定される追加の目標金額のことです。
ストレッチゴール、ネクストゴール、セカンドゴールなど、プラットフォームによって呼ばれ方は異なります。

ストレッチゴールを達成すると、リターンがより豪華になったり、プロジェクトの規模が拡大したり、新たなサービスが追加されたりすることが一般的です。これにより第一目標達成後の支援の停滞を防ぎ、プロジェクトの盛り上がりを継続させる効果があります。
トップ画像(Main Visual/Top Image)
プロジェクトページの最初に表示される大きな画像で、プロジェクトの第一印象を決定づける重要な要素です。

商品の全体像や使用シーンが分かりやすく、高画質であることが望ましいとされています。サムネイル画像とも呼ばれ、検索結果やカテゴリページからの誘導にも影響します。
プロジェクト概要(Project Summary)
プロジェクトの内容をコンパクトにまとめた導入部分で、訪問者が最初に目にする文章です。

「何を、なぜ、どのように実現するのか」を簡潔に説明し、続きを読みたくなるような魅力的な書き出しが求められます。一般的に200〜300字程度で作成されます。
ギャラリー/画像、動画セクション(Gallery/Image Section)
商品やサービスを様々な角度から写真や動画で紹介するセクションです。

使用シーン、細部のディテール、サイズ感、色のバリエーションなどを視覚的に伝えることで、支援者の理解と期待を高めます。
実現可能性(Feasibility)
プロジェクトが実際に達成できるかどうかの信頼性を示す要素です。
チームメンバーの専門性、これまでの実績、プロトタイプの存在、明確なスケジュールなどで示されます。支援者が「このプロジェクトは成功しそうだ」と感じるかどうかは、支援の判断に大きく影響します。
チーム紹介(Team Introduction)
プロジェクトを実行するメンバーの経歴、専門性、役割などを紹介するセクションです。

顔写真や実績を添えることで親近感と信頼性が増し、「誰が作るのか」を明確にすることで支援の判断材料となります。
FAQ(よくある質問)
支援者から寄せられる可能性のある質問とその回答をあらかじめ用意したセクションです。

商品の仕様、配送方法、保証内容、支援方法など、支援の障壁となりうる疑問を解消し、支援への安心感を提供します。
リスク&チャレンジ(Risks & Challenges)
プロジェクト実行過程で想定されるリスクや困難、それに対する対策を正直に開示するセクションです。

完全な計画はないという前提で、誠実に課題を認識していることを示すことで、かえって信頼性を高めることができます。
プラットフォーム関連
カテゴリー/ジャンル (Category/Genre)
クラウドファンディングプラットフォームでプロジェクトを分類するための区分です。プロダクト(製品)、ビジネス・起業、エンタメ、社会課題・福祉、地域活性化、アート・音楽、スポーツ、食べ物、ファッションなど、多様なカテゴリーが設定されています。

適切なカテゴリー選択により、そのジャンルに関心のある支援者に効率的にリーチできます。プラットフォームによって得意とするカテゴリーが異なるため、自分のプロジェクトに適したプラットフォーム選択の重要な判断材料となります。
タグ (Tag)
プロジェクトの内容や特徴を表すキーワードです。検索性を高めるためにプロジェクトに付与されるもので、支援者が関心のあるプロジェクトを見つけやすくします。

適切なタグ設定はプロジェクトの露出機会を増やす重要な要素です。
決済手数料 (Payment Processing Fee) / サービス利用手数料 (Platform Fee)
クラウドファンディングプラットフォームを利用する際に発生する費用のことです。
通常、「サービス利用手数料(プラットフォームのシステム利用料)」と「決済手数料(支援金の決済処理にかかる費用)」に分けられます。
これらの手数料はプラットフォームによって異なり(例:CAMPFIREは約17%+税、Makuakeは約20%、GREEN FUNDINGは約20%、MotionGalleryは約10%~20%)、集まった支援金総額から差し引かれてプロジェクトオーナーに振り込まれます。
活動レポート/活動報告(Activity Report)
Makuakeでは活動レポート、CAMPFIREでは活動報告と呼ばれる項目で、実行者がサポーターと応援購入を検討している人にプロジェクトの進捗や良さを発信できる機能です。

プロジェクトページのタブから確認でき、プロジェクトの魅力を伝える重要なコミュニケーションツールとなっています。
CAMPFIREでは投稿すると、プロジェクトの支援者やお気に入りに登録している人にメールで通知されます。CAMPFIREの統計によると、活動報告を3回以上投稿すると、投稿しない時に比べて集まる金額が約2倍になる傾向があります。
応援コメント(Support Comments)
プロジェクトに対してサポーター・支援者が投稿するコメントです。

Makuakeでは、プロジェクトページに応援コメントというセクションがあり、サポーターがプロジェクトへの期待や応援のメッセージを書き込むことができます。このコメントはプロジェクトの信頼性を高め、他の潜在的なサポーターの判断材料にもなります。
お気に入り(Favorites/Bookmark)
プロジェクトをフォローする機能です。Makuakでは気になるボタン、CAMPFIREではお気に入りに登録することができます。

お気に入りに登録すると、プロジェクトに関する通知を受け取れるほか、CAMPFIREでは活動報告が投稿された際にもメールで知らせが届きます。これにより、プロジェクトの進捗を追いかけやすくなり、後日支援に繋がる可能性も高まります。
シェア支援
特にMakuakeで強調されている機能で、プロジェクトをSNSなどでシェアすることで実行者を応援できる仕組みです。
シェアを通じて、プロジェクトの認知を広げ、より多くの潜在的サポーターにプロジェクトを知ってもらうことができます。Makuakeでは、シェア支援リンクを使うと、自分のシェアで何人がプロジェクトを訪問したかを確認することもできます。
おかわり(Repeat Campaign)
同じ商品やサービスで別のクラウドファンディングプラットフォームでプロジェクトを実施することを指します。
例えば、最初にMakuakeでプロジェクトを実施した後、CAMPFIREでも同様のプロジェクトを実施するなどの戦略です。異なるプラットフォームの特性を活かして、より多くの支援を集めることが目的です。
ステータス変更(配送完了)
Makuakeでプロジェクトを実施した際、リターンの発送完了後には管理画面から配送完了に状態を変更する機能です。
この操作はプロジェクト管理において重要で、配送ステータスを更新することで支援者に配送完了を通知し、また一般販売に移行するためのステップとなります。
広告・マーケティング用語
広報戦略 (PR Strategy)
メディアやインフルエンサーといった第三者を通じて情報を発信し、プロジェクトの信頼性や社会的な認知度を高める活動です。
マーケティング戦略が直接的な顧客獲得を目指すのに対し、広報戦略は客観的な評価や広範な認知獲得に重点を置きます。プレスリリースの配信やメディアへの情報提供、体験イベントの開催などが主な手法です。
FB広告/Meta広告(Facebook Ads/Meta Ads)
Facebook(現Meta)のプラットフォーム上で配信される広告です。
クラウドファンディングプロジェクトの宣伝やプロモーションに効果的で、ターゲットユーザーに対して効率的にリーチできるため、多くのプロジェクト実行者が活用しています。特に事前集客や初速を高めるために重要な広告手段となっています。
プレローンチ(Pre-launch)
クラウドファンディングプロジェクトを本格的に開始する前の準備段階を指します。
事前にターゲットオーディエンスへの認知拡大や関心喚起を行い、プロジェクト公開初日からの支援獲得を最大化することが目的です。SNSでの告知やメルマガの配信、ティザーサイトの公開などがプレローンチ施策として実施されます。
ランディングページ(Landing Page/LP)
ユーザーが広告などをクリックして最初に訪れるウェブページのことです。
クラウドファンディングでは、プロジェクトページへの誘導や事前登録の獲得を目的としたランディングページを用意することがあります。効果的なランディングページはプロジェクトへの関心を高め、支援につなげる重要な役割を果たします。
事前集客(Pre-marketing)
クラウドファンディングプロジェクトを公開する前に行う、プロジェクト支援者を集めるための活動です。
Makuakeではプロジェクト開始前から認知拡大させる事前集客に力を入れることが重要とされており、事前集客が成功すると初動で支援を得られやすく、その後のプロジェクト露出にも好影響を与えます。
適切な事前集客がないと、特にプラットフォームからの露出が限定され、支援を伸ばすのが難しくなることがあります。
物流・在庫管理編

クラウドファンディングでの目標達成はゴールではありません。支援者に商品を届けるまでがビジネスであり、その後の一般販売を見据えた施策も重要です。ここでは、物流関連で扱う用語をまとめました。
クーリエ輸送
DHL、FedExなどによる航空小口貨物配送サービスのことです。追跡可能で確実な手段ですが、コストは高くなります。
DHL(ディーエイチエル)
ドイツに本社のある国際輸送物流会社です。世界の220以上の国や地域への配送に対応しており、国内配送業者を凌ぐ程の配送スピードの速さが特徴的です。
FedEx(フェデックス)
世界220の国と地域、陸から空まで対応している世界最大手の物流会社です。
保税倉庫
関税未払い貨物を一時保管できる税関指定倉庫のことです。
通関前の商品保管に利用されます。
リードタイム
発注から納品までの期間のことです。
海上輸送の場合、アジアからだと2-4週間、欧米からだと6-8週間ほど商品到着までに時間がかかります。
3PL(Third Party Logistics)
物流業務の外部委託のことをさします。
倉庫管理、在庫管理、配送業務を専門業者に任せるため、自身はクラウドファンディングの準備や商品リサーチなどに時間をかけることができます。
サプライチェーン
商品の原材料調達から製造、在庫管理、配送を経て消費者に届くまでの全体の流れのことをさします。
輸入クラファン物販では、海外メーカーの生産遅延や国際物流の混乱など、サプライチェーン上のリスク管理がプロジェクト成否に直結します。
一般販売(General Sale/Retail Sale)
クラウドファンディングプロジェクト終了後、通常の店舗やECサイト(Amazonや自社サイト)などで製品を販売することです。
Makuakeでは、リターンの配送完了から3ヶ月間はプロジェクトページに記載の価格より安い価格で販売しないことを約束するよう求めており、一般販売に移行する際の価格設定にも注意が必要です。
財務・収益管理編

輸入物販では金銭面でのやり取りも多くなるため、財務管理に関する知識も必要となります。
損益計算
損益計算を正確に行うことで、輸入クラファン物販を持続可能で収益性の高いビジネスとして展開できます。特に初回プロジェクトでは保守的な見積もりを行い、経験を積みながら精度を高めていくことが重要です。
支援総額 – (プラットフォーム手数料 + 商品原価 + 輸送費 + 関税・消費税 + 認証費用 + 配送料 + 広告費など)
為替リスク
外貨建て取引における通貨変動リスクのことです。
為替予約や円建て決済でリスク回避が可能です。
キャッシュフロー
資金の流れのことをさします。
支援金入金から製造、輸入、配送までの資金繰り管理が重要となります。
確定申告
輸入クラファン物販でのクラファン収入は事業所得または雑所得として申告します。
事業所得
継続的・反復的にクラファンを実施し、営利目的で組織的に運営しているかどうか。
税務上のメリット: 青色申告特別控除(最大65万円)、損失の3年間繰越可能
雑所得
単発的・趣味的な活動、小規模で副業的なプロジェクトの場合。
注意点: 損失の繰越不可、経費計上に制限
計上可能な必要経費
商品関連費用(商品原価、国際輸送日、関税・輸入消費税、認証取得費用)、プラットフォーム関連費(手数料、決済手数料)、マーケティング費用(広告宣伝費、プレスリリース費、展示会出展費)、事業運営費用(海外出張費、通信費、専門家報酬)
助成金 (Grant/Subsidy)
政府や自治体、団体などが特定の目的や活動に対して支給する資金援助です。
クラウドファンディングに関連する助成金として、東京都ではクラウドファンディング活用助成金があります。
補助金 (Subsidy)
国や地方自治体が特定の政策目的のために企業や個人に交付する資金です。
助成金と似ていますが、一般的に補助金は予算枠があり競争的な性格が強いのに対し、助成金は条件を満たせば支給される場合が多いという違いがあります。クラウドファンディングプロジェクトの資金調達において、補助金を併用することで事業実現の可能性を高めることができます。
申請から支給まで時間がかかることが多いため、プロジェクト計画に組み込む際は余裕を持ったスケジュールが必要です。
代行業者 (Agency Service/Support Service)
クラウドファンディングプロジェクトの企画から実行、運営までをサポートする専門業者です。
- プロジェクト戦略立案
- プロジェクトページの作成
- 動画・画像制作
- マーケティング支援
- 運営代行
代行業者はこれら包括的なサービスを提供します。代行業者を利用することで、専門知識や経験不足を補い、成功率を向上させることができます。
LEAGUEのクラウドファンディングサポート
当社LEAGUEでは、クラウドファンディングの企画・戦略立案・運営サポートなど、無料相談を受け付けています。クラウドファンディングの代行についても受け付けておりますので、「どこから手をつければいいか分からない…」と悩んでいる方は、成功の第一歩を踏み出しましょう。
\ 専門家がサポート /
結論(Conclusion)

本用語集を通じて、クラウドファンディングの基本的な仕組みから多様な資金調達タイプ、プロジェクト運営の要点、潜在リスクと対策、そして国内外の主要プラットフォームまで、幅広く解説しました。各プラットフォームが持つ独自のコンセプトや用語も、その特性を理解する上で役立つでしょう。
本記事では、クラウドファンディングの概要的な内容を解説しましたが、プロジェクトの準備や運営には多くの専門的な知識が求められることも事実です。プロジェクトの成功に向けて専門的なアドバイスが必要な方は、ぜひLEAGUEにご相談ください。クラウドファンディングの企画から実施まで、無料でご相談に対応いたします。お気軽にご連絡ください。
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