クラウドファンディング詐欺の手口と対策、支援者が知っておくべきこと

クラウドファンディングは、インターネットを通じて多くの人から少額のお金を集めることで、プロジェクトや事業のための資金を調達する方法です。資金難に苦しむ中小企業や個人経営のお店を支援するプロジェクト、災害で被災した地域への寄付型プロジェクトなど、さまざまなプロジェクトが存在しています。

最近ではクラウドファンディングの認知度も高まり、多くの人が利用するようになりました。しかし、その一方で悪質な詐欺も増えている現状があります。

例えば、約10万円の支援で得られるはずのリターン製品が約束の期日を2カ月過ぎても届かず、運営会社に問い合わせても製造元に連絡するようにと言われるだけで解決しないといったトラブルが発生しています。

本記事では、クラウドファンディング詐欺の典型的な手口や実例について紹介します。プロジェクトを支援する前にどのような詐欺手口や事例があるかを知り、詐欺トラブルに巻き込まれないための対策を講じることが大切です。

目次

クラウドファンディングの詐欺手口

クラウドファンディング自体は決して怪しいものではありません。しかし、クラウドファンディングの仕組みを悪用した詐欺が起きていることも事実です。

詐欺にあわないためには、数あるプロジェクトの中から怪しいプロジェクトを見極める必要があります。ここでは、クラウドファンディングで起こりうる詐欺の手口を詳しく説明します。

リターンの商品が届かない

クラウドファンディングでよくある詐欺の一つは、リターンとして約束された商品が支援者に届かないケースです。プロジェクト実行者が資金を集めた後、製品の製造や配送を行わず、支援者は約束されたリターンを受け取れません。

このような場合、支援者はお金を失い、何も得ることができません。

説明と違う商品が届く

プロジェクトの説明では高品質で画期的な商品が約束されていたのに、実際に届いた商品は全く異なる、低品質なものであるケースがあります。

また、プロジェクトの説明が途中でひっそりと変更されることもあります。例えば、最初は高品質の素材を使用と書いていたはずが、何の告知もなく廉価な素材にひっそりと変更されていることがあります。

これは、プロジェクトオーナーが意図的に誤解を招くような情報を提供していた場合に発生します。支援者は期待を裏切られ、不満を抱くことになります。

プロジェクトが一方的に中止となる

プロジェクトが突然キャンセルされるケースも詐欺の一つです。プロジェクト実行者が資金を集めた後、何の説明もなくプロジェクトを中止し、支援者には資金の返還が行われません。

このような詐欺行為は、企業が出資者に対して対価を支払う必要がない寄付型クラウドファンディングで見られます。

支援金が別の用途に使われる

集めた支援金がプロジェクトの目的以外に使われるケースがあります。

例えば、自然災害で被災した被災地へのボランティア資金が、プロジェクトオーナーの私的な目的に流用する場合などです。

クラウドファンディングにおいては、プロジェクトの実行者と支援者の間で情報の非対称が生じやすいため、支援金の使用用途が明確にされないことがあります。

支援金をそのまま持ち逃げ

プロジェクト実行者が集めた支援金をそのまま持ち逃げすることがあります。これは、貸付型や事業投資型などの金融型クラウドファンディングに見られる詐欺手口です。

金融型クラウドファンディングでは、元本保証がされない投資(匿名投資)が一般的で、プロジェクト実行者が意図的に経営破綻を行ったり、説明をしないままプロジェクトを打ち切ったりすると、支援したお金やリターンは返ってきません。

クラウドファンディングの詐欺事例

ここからは、実際にクラウドファンディングの詐欺にあった人の事例を紹介します。

詐欺の実例を知ることで、怪しいプロジェクトを見たときに避けることができるよう、危機意識を高めましょう。

リターン時期が過ぎてもリターン商品が届かない

新型コロナウイルス感染症の対策のために、夏でも涼しく装着できるマスクをインターネット検索していたところ、クラウドファンディングを利用して、夏用マスクを制作するプロジェクトを見つけた。

趣旨に納得したので、クラウドファンディングのサイト運営業者を通し、夏用マスクのプロジェクトに約1万3,000円の支援金を支払い、プロジェクト期間終了後に夏用マスクを5枚受け取る契約をした。

しかし、先月末がプロジェクト期間終了予定であったにもかかわらず、夏用マスクが届かない。不安になってインターネットの書き込みを見ると、「マスクの品質が悪い」、「プロジェクトの実行者の対応が悪い」などの悪評がたくさん見つかった。約束の夏用マスクを届けてほしい。

(国民生活センター報告資料、第38回インターネット消費者取引連絡会、契約当事者:50歳代、女性)

プロジェクトの実⾏者からリターンが提供されない

以前から利用していた飲食店が、クラウドファンディングのサイトで店の改装資金を集めていることを知った。出資者には毎日食べ放題のリターンがあるので、出資することにした。1万5,000円をサイトに支払ったので、翌月から食べ放題の権利が手に入る予定だった。

ところが、新型コロナウイルス感染症の流行で店が閉店し、リターンが得られないことが分かった。サイトではリターンが得られなくなった時に、保険申請をして返金を要求できるはずだが、メールで申し出ても返事が無く、電話での苦情受け付けもしていないので、心配になった。1万5,000 円を返金してほしい。

(国民生活センター報告資料、第38回インターネット消費者取引連絡会、契約当事者:30歳代、男性)

消費者が希望していた商品とは異なるリターン商品が提供された

クラウドファンディングで、スマートフォンと連携する時計を申し込んだ。睡眠時間を計測できるというので購入を決めた。

しかし、プロジェクトが締め切られ、代金を支払った後に、機能の仕様変更がホームページで発表された。さらに、送られてきた時計は、当初とはデザインが違っていた。デザイン変更などの説明は事前に⼀切なく、商品が届いた後にHP上で発表があった。

プロジェクト実⾏者が返金・交換対応を行ったため、返金を希望したが、送料が消費者負担であったり、電子決済サービスを利用した返金のみだった。口座振替で返金して欲しい。

クラウドファンディングのサイト運営事業者にも問い合わせたが、返信がない。保証制度などもない。

(国民生活センター報告資料、第38回インターネット消費者取引連絡会、契約当事者:40歳代、男性)

40億円以を集めたみんなのクレジット・詐欺事件

みんなのクレジットはソーシャルレンディング事業で急成長した企業であり、最大で年率14.5%という高い利回りをうたい、「安心・安定の高利回り資産運用」を売り文句にしていた。しかし実際には、集めた資金の多くが親会社や関連会社への融資に使われていました。そして、2017年に金融庁と東京都から2度の行政処分を受けました。

集めた40億以上の資金のうち、約31億円の融資は焦げ付き、裁判で全面勝訴した投資家に対しては1億円の支払いが命じられました。しかし、支払う原資がないとして和解策による10%の支払い(約1000万円)にまで減額しました。ただし、2023年6月時点では、支払いが完了していない模様です。

(東京商工リサーチ:相次ぐ業務停止命令で揺れる(株)みんなのクレジット、2017/08/08、

東洋経済オンライン:「みんクレ」元社長が裁判でぶちまけた恨み節、2020/01/04)

嘘の病状を語り寄付を募る・海外事例

日本での詐欺事件と同様に、海外クラウドファンディングにおいても詐欺は起きています。

2018年、イギリス在住の女性が「卵巣がんの治療費が必要」と偽り、クラウドファンディングサイト「GoFundMe」で約4万5000ポンド(約620万円)の支援金を不正に受け取りました。

彼女は病院のベッドにいる写真を投稿し、治療費の寄付を呼びかけ、「卵巣がんと診断され、つらい闘病生活を送っている」「スペインの病院で手術を受けたいが、渡航も医療費も高額で、とても支払えない」などと説明し、多くの人より寄付金が集まりした。

しかし実際には卵巣がんなどの症状はなく、寄付金のほとんどをギャンブルや贅沢品に浪費していました。裁判では有罪判決が下り、懲役33ヶ月の実刑判決を受けました。

(BBC:Woman jailed for fake cancer GoFundMe fundraising fraud、2021/02/10、

エキサイトニュース:卵巣がんと偽り620万円の寄付を受け取った女、ギャンブルなど派手に散財(英)、2020/11/12)

クラウドファンディングの悩みは公的機関に相談する

ここからは、実際にクラウドファンディングのトラブルにあったときの解決手段を紹介します。

クラウドファンディングサイトの運営者に問い合わせる

プロジェクトの実行者に連絡が取れない、または連絡は取れたが返金の要望に応じてもらえない場合は、クラウドファンディングサイトの運営者へ問い合せてください。

実行者からの連絡が返ってこない、リターンが届かない、または届いた商品がサイト上の説明と異なるなどの証拠をサイト運営に提出すると効果的です。

支援者1人からの連絡は無視されるかもしれませんが、サイト運営からの問い合わせは無視しづらいものです。サイト運営者が実行者に直接連絡を取ったり、返金要請を行ったりすることがあります。

消費者ホットラインに相談する

クラウドファンディングサイトの実行者やサイト運営者に相談しても解決しない場合は、消費者生活センターに相談しましょう。

消費者ホットラインは全国どこからでも電話で相談ができます。必要に応じて地方公共団体が設置している身近な消費生活センターや、消費生活相談窓口を案内してくれます。

消費者ホットライン

☎ 188

10:00-12:00 / 13:00-16:00

警察に相談する

クラウドファンディングの詐欺が疑わしい場合、警察相談専用電話に相談することも有効です。

警察相談専用電話では、犯罪や事故に至っていないが不安に思うことなどを相談することができます。

警察相談専用電話

☎ #9110

平日 午前8:30~午後5:15

結論(Conclusion)

クラウドファンディングは、まだ世に出ていない素晴らしいアイデアやサービスを実現するための有力な手段です。しかし、その利便性を悪用した詐欺も存在することを忘れてはいけません。本記事で紹介したような詐欺の手口や事例を参考にして、支援者としても実行者としても、慎重に行動することが重要です。

支援者は、プロジェクトの背景や実行者の信頼性を十分に調査し、疑わしい点がないかを確認することが大切です。一方、プロジェクト実行者も、透明性を持った情報提供や適切なコミュニケーションを行うことで、支援者の信頼を得るように努めましょう。

万が一支援しているプロジェクトが詐欺と疑わしいときは、各機関に相談できることを理解し、迅速に対応することが求められます。クラウドファンディングを安全に活用するために、常に注意を払い、信頼できるプロジェクトを支援しましょう。

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この記事を書いた人

【海外ビジネス・クラウドファンディングの専門家】
MakuakeやGREEN FANDINEGといった主要なクラウドファンディングサイトとの公式パートナー。
プロジェクト平均達成率98%を誇るクラウドファンディングの専門家。
海外のニッチな展示会で日本国内未発表の優良商品を発掘し、ユニークなプロジェクトを企画することが得意。
各プラットフォームの最新情報や成功事例を取り入れた情報を提供します。

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