魚津水族館が挑んだクラウドファンディングとは?目標230%達成の裏側

目標金額の230%達成!?

2024年、日本で最も古い水族館として知られる富山県の魚津水族館が、老朽化した施設を未来へ残すためにクラウドファンディングに挑戦しました。

その結果、目標2,000万円に対して最終的に約4,600万円(目標の2.3倍)もの支援金が全国から集まる大成功を収めました。地元住民はもちろん、県外からも延べ1,600名以上の支援者が集まり、500件を超える応援メッセージが寄せられるなど、温かい共感の輪が広がったのです。

こうした成果の背景には、ふるさと納税型クラウドファンディングという仕組みを活用した様々な成功要因がありました。

本記事では魚津水族館の挑戦事例から、クラウドファンディングの成功ポイントを徹底解説します。クラウドファンディング初心者の方はぜひ参考にしてください。

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目次

初心者向け|クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングに関心はあるものの、「仕組みがよくわからない」「どんな種類があるのか知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

まずはじめに、クラウドファンディングの基本的な仕組みや活用の広がりについて解説し、魚津水族館が実際に活用した「ふるさと納税型クラウドファンディング」の特徴や仕組みについても詳しくご紹介します。

クラウドファンディングの基礎知識

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募る新しい資金調達方法です。

プロジェクトやアイデアに共感した人々から少額ずつ支援を集められる点が特徴で、当初はスタートアップ企業による活用が中心でしたが、近年では地域の公共施設や教育・文化活動など身近な分野でも盛んに利用されるようになっています。

魚津水族館が行ったふるさと納税型クラウドファンディングとは?

魚津水族館が採用したのはふるさと納税型のクラウドファンディングです。

これは地方自治体が主体となって寄附を募る形式で、支援者は寄附金額に応じて税控除などの優遇(ふるさと納税の仕組み)を受けられる点が特徴です。

魚津市ではこの制度を活用し、クラウドファンディングの寄附者に対し所得控除などのメリットを提供しました。そのため個人はもちろん企業からの支援も集まりやすくなり、結果として地元だけでなく全国規模で資金と応援を募ることに成功しました。

ふるさと納税型クラウドファンディングはガバメントクラウドファンディング(GCF)とも呼ばれ、自治体とクラウドファンディングサイトが提携して行われます。
寄附者にとって税制上のメリットがある一方、募集側にとっても通常のクラウドファンディングより幅広い層にアプローチできる利点があります。

クラウドファンディング × 魚津水族館の成功事例

参照:古くてボロいが日本一!日本で最も歴史の長い水族館『魚津水族館』を次世代へつなぎたい!

ここからは、実際に魚津水族館がおこなったクラウドファンディングの挑戦について詳しく見ていきます。

日本最古の水族館である魚津水族館が、どのような背景でプロジェクトを立ち上げ、どのように目標を達成したのか。その過程には、地域の誇りを未来へつなぐ熱いドラマがありました。

魚津水族館がクラウドファンディングを実施した背景

参照:古くてボロいが日本一!日本で最も歴史の長い水族館『魚津水族館』を次世代へつなぎたい!

魚津水族館は大正2年(1913年)に創立され、100年以上の歴史を刻む日本最古の水族館です。

富山県で唯一の水族館として、昭和56年(1981年)開館の現在の施設が3代目となり、「北アルプスの渓流から日本海の深海まで」をテーマに300種以上の生き物を展示してきました。地元の子どもたちの遠足先として親しまれるなど地域に密着したランドマークであり、訪れた誰もが昔ながらの日本の水族館の良さを感じられる場所です。

しかしながら、築40年以上が経過した建物では館内各所で不具合が目立ち始めていました。

富山湾を再現した大水槽での水漏れや、ポンプや冷却装置の故障など、老朽化に起因する問題が相次ぎ、早急な設備の修繕・更新が必要となっていたのです。

加えて、運営自治体の財政だけでは十分な改修費用を捻出できない現実的な課題もあり、「このままでは日本最古の水族館を後世に残せない」との危機感が高まっていました。

こうした背景のもと、水族館と魚津市は「現存最古の水族館を未来につなぐプロジェクト」と題したふるさと納税型のクラウドファンディングを立ち上げます。

プロジェクトの概要

参照:古くてボロいが日本一!日本で最も歴史の長い水族館『魚津水族館』を次世代へつなぎたい!

水族館と魚津市は2024年11月1日から2025年1月30日までの約3か月間、目標金額を2,000万円に設定し、ふるさと納税型クラウドファンディングとして全国に支援を呼びかけました。

プロジェクトの驚異の達成結果

ここでのふるさと納税での寄付に加え、直接の寄付も1000万以上集まった
参照:古くてボロいが日本一!日本で最も歴史の長い水族館『魚津水族館』を次世代へつなぎたい!

当初設定された目標金額は2,000万円。

決して小さくない額ですが、老朽化した大水槽の修繕や設備更新には必要な費用でした。

特設サイトを通じての約3600万円の支援と、郵便振替・銀行振り込み・直接払いなどによる1000万円の支援により、結果的には全国から1,600名以上の支援者が集い、最終寄附総額は4,600万円を超えました。これは目標の2.3倍にも上る金額で、プロジェクトは大成功裏に終了したのです。

魚津市の村椿晃市長も記者会見で「予想をはるかに超える応援をいただいた」と述べ、この結果に大きな感謝の意を表明しています。

支援の内訳を見ると、富山県内からの寄附が827件(約2,009万円)、県外からが802件(約2,594万円)と、地元・県外の双方からほぼ半々の厚い支援が寄せられました。

地元の誇りを守りたいという思いと、日本最古の水族館を応援したいという全国のファンの思いが合わさり、文字通り地域と全国を巻き込んだプロジェクトになったと言えます。

※参照:魚津水族館修復CFに4604万円 村椿市長「予想超える応援」 
    魚津水族館 老朽化施設改修へ 寄付額4600万円余に

魚津水族館クラウドファンディングから読み解く5つの成功ポイント

参照:古くてボロいが日本一!日本で最も歴史の長い水族館『魚津水族館』を次世代へつなぎたい!

多くの支援を集めた魚津水族館のクラウドファンディングには、随所に工夫が凝らされていました。

ここからは、これからクラウドファンディングに取り組もうとしている方にとって参考になる、5つの重要な成功ポイントをわかりやすく紹介していきます。

ビジョンの明確化

クラウドファンディングを成功へ導くうえで、明確なビジョンを掲げることは不可欠です。

魚津水族館のプロジェクトでは、「日本最古の水族館を未来へつなぐ」というキャッチコピーが、明快で力強いメッセージとして機能していました。これは単なる施設改修の訴えではなく、長年地域に愛されてきた場所を次の世代に残したいという想いを表したものであり、多くの支援者の心に深く響くものでした。

また、プロジェクト全体に通底する「社会的意義」が明確だったことも、多くの人々の共感を得た要因といえるでしょう。
自分の支援が社会にとって意味ある行動につながっていると実感できることは、寄附を後押しする強い動機となります。

歴史とストーリーへの共感喚起

魚津水族館には”日本最古”、”富山県唯一”というユニークな歴史と立ち位置があります。

この豊かなストーリー性を前面に押し出し、「子どもの頃の思い出を未来の子どもたちへ」「100年続いた水族館をさらにその先へ」といったメッセージで共感を呼び起こしました。

実際、壊れた装置の代替としてスタッフが手作業で波を起こし続けたエピソードなど、献身的な努力の物語がメディアで紹介され、大きな反響を呼びました。

このように人々の心に届く物語を伝えることは、支援したい気持ちを引き出す大きな原動力となります。

具体的な目標金額と透明な資金使途の提示

参照:古くてボロいが日本一!日本で最も歴史の長い水族館『魚津水族館』を次世代へつなぎたい!

クラウドファンディングでは、目標金額の設定と集めた資金を何に使うかの明示が信頼を得る鍵となります。

魚津水族館プロジェクトでは、2,000万円という具体的な目標額を示すとともに、「富山湾大水槽の補修」「冷却装置の更新」「波の水槽ポンプ交換」など資金の使い道を細かく説明していました。

支援者にとって、自分の寄附がどのように役立つのかが明確に分かるため、安心感と納得感を持って支援に踏み切れます。

結果的にプロジェクト終了後も、集まった資金が予定どおり設備改善に使われていることが報告され、支援者との約束を守る姿勢がさらに信頼感を高めました。

ふるさと納税制度の活用

前述のとおり、魚津水族館はクラウドファンディングにおいて「ふるさと納税型クラウドファンディング」という仕組みを採用することで、支援の裾野を大きく広げることに成功しました。

この制度は寄附を通じて地域を応援できると同時に、寄附者が所得税や住民税の控除を受けられるという仕組みであり、その他クラウドファンディングと比較しても、支援者へのメリットが明確な点が特長です。

特に注目すべきは、魚津市という自治体が公式にプロジェクトを推進しているという「公的な安心感」が支援者に伝わりやすかった点です。自治体主導であることで「資金がきちんと使われるだろう」「信頼できるプロジェクトだ」という印象を持たれやすく、クラウドファンディングへの心理的ハードルを下げることができました。

地元・ファン・全国を巻き込むコミュニティ連携

参照:古くてボロいが日本一!日本で最も歴史の長い水族館『魚津水族館』を次世代へつなぎたい!

魚津水族館の成功は、地元と全国の支援者コミュニティをうまく巻き込んだ点にもあります。

地元富山の人々は「自分たちの水族館を守りたい」という思いで結束し、一方でインターネットや報道を通じて水族館の魅力を知った全国のファンも「日本最古の水族館を応援したい」と参画しました。

最終的な支援額の約半分は県外からの寄附で占められ、遠く離れた人々まで巻き込めたことは特筆すべき成果です。

この背景には、SNSやニュースを活用した情報発信や、魚津水族館公式サイト・ブログでの定期的な進捗報告など、双方向のコミュニケーションがあったと考えられます。支援者はプロジェクトの途中経過を見守り、コメントを通じて交流し、ひとつのコミュニティが形成されていきました。

人と人との繋がりがこのプロジェクトを成功へと導いたのです。

あなたの地域・事業にもクラウドファンディングを応用しよう!

参照:古くてボロいが日本一!日本で最も歴史の長い水族館『魚津水族館』を次世代へつなぎたい!

今回の記事では、魚津水族館の挑戦と成功事例を通して、クラウドファンディング成功のポイントを解説しました。

クラウドファンディングは未来への橋渡しです。資金だけでなく人の想いを集め、地域の未来を共に創る手段として、今後もますます活用が広がるでしょう。

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この記事を書いた人

【CF NEWS運営担当&ライター】
LEAGUEではクラウドファンディング専門メディアの運営を担当。
プロジェクトページの執筆をはじめ、物販ノウハウを学べる教育用コンテンツの制作など、多角的に情報発信を担っている。
「初心者でも理解しやすく、すぐに実践できる記事づくり」が信条。
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