日本が誇る伝統文化「将棋」。その将棋界をけん引する日本将棋連盟が、新たな挑戦に乗り出しました。それは「次の100年」を見据えた新将棋会館の建設を目指す一大クラウドファンディングプロジェクト!
6期にわたる支援募集は、のべ12,000人を超える支援者の熱意を集め、累計6億円を超える成功を収めました。背景にあるのはただの施設建設ではなく、将棋という文化を次世代へ継承するという強い想い。そして、それを多くの人と共有できるクラウドファンディングという手段でした。
本記事では日本将棋連盟が実践したクラウドファンディングの戦略、支援を集めた仕掛け、そして将棋文化の未来に迫ります。文化×資金調達の最前線を、ぜひご一読ください。
日本将棋連盟がクラウドファンディングに注力する背景

クラウドファンディングは、単に資金を募るための手段ではありません。プロジェクトの理念や目指す未来を多くの人に伝えることで、共感の輪を広げ、組織と支援者との新たな関係を築くことができる方法です。日本将棋連盟が取り組んだ一連のクラウドファンディングは、その好例として注目されています。
日本将棋連盟とは
日本の伝統文化の一つとして、長く人々に親しまれている将棋。日本将棋連盟は、プロ棋士の育成、公式戦の運営、将棋文化の普及を担う公益法人です。
日本将棋連盟の資金課題
伝統を担う組織の継承や新たな挑戦を支えるには、従来の資金モデルだけでは限界があります。
将棋界も同様に、施設の整備や海外普及活動など、さらなる発展のためには資金調達が求められていました。
そこで日本将棋連盟が取り組んだのが、クラウドファンディング。インターネットを通じて、全国のファンのみならず、海外の将棋愛好者からも支援を募ることができるこの仕組みは、日本将棋連盟にとって新たな可能性を切り開くものでした。
新将棋会館建設プロジェクト―6期連続で成功したクラウドファンディングの実像


クラウドファンディングで6億円超―この数字だけを見れば、成功のインパクトは明らかです。
しかし、その裏には、支援者一人ひとりの想いや、将棋界の未来にかける情熱が積み重なっていました。特に注目すべきは、日本将棋連盟が段階的な展開、ファンとのつながり、わかりやすいビジョンを軸にした戦略を一貫して実施してきた点です。
資金を集めるだけでなく、共に歩む仲間を増やしていく。
そのスタンスが、6期連続の成功という結果につながりました。
累計支援額6億円超のインパクト
日本将棋連盟が手がけた「新将棋会館建設プロジェクト」は、6期に分けてREADYFORで実施されました。最終的な累計支援額は6億円を超え、支援者数は延べ12,000人以上。最終期には目標金額の277%という驚異的な達成率を記録しました。
この成功は、綿密なストーリー設計、支援者との対話、そして返礼品の工夫など、多くの要素が絡み合って初めて達成された結果です。
明確なビジョンとストーリー
「新しい将棋の拠点をつくり、未来の棋士を育てたい」―この明快なメッセージが、多くの支援者の共感を集めました。
プロジェクトページでは、施設の用途や社会的意義、将来像をビジュアル付きで丁寧に解説。将棋ファンだけでなく、教育関係者や地域活性化に関心のある人々からも注目されました。
有名棋士登場による波及効果
藤井聡太八冠や羽生善治九段といった人気棋士の登場は、将棋界自体のメディア露出の増加やSNSでの拡散に大きく寄与しました。特に、両者による特別対局イベントの開催はニュースとしても大きく取り上げられ、プロジェクトの注目度を一気に押し上げました。
人気を集めた理由は「返礼品」と「つながり」

クラウドファンディングを成功させるには、ただ「いい企画」を用意するだけでは足りません。支援したいと思わせる魅力的なリターン、そして支援者との関係を丁寧に育てる姿勢が、プロジェクト全体の信頼感と広がりを生み出します。
日本将棋連盟の新将棋会館プロジェクトは、まさにその好例でした。細やかに設計された返礼品と、支援者を巻き込むコミュニケーションが支援者の心をつかみ、次々と新たな支援を呼び込む結果につながったのです。ここでは、その2つの視点から成功のポイントを探っていきます。
支援者を惹きつける返礼品戦略

クラウドファンディングにおける「返礼品」は、プロジェクトの魅力を伝える最も直接的な手段のひとつです。日本将棋連盟では、将棋ファンのみならず一般層にも刺さるよう工夫された返礼品が用意されました。
中でも特に話題になったのが、藤井聡太八冠が監修したピカチュウのぬいぐるみや、羽生善治九段とのコラボ商品。即完売となるほどの人気を博し、支援者の満足度とプロジェクトの話題性を同時に高めました。
さらに、支援金額に応じて複数の選択肢を用意した段階的なリターン設計も、多くの支援を集める要因に。
3,000円から気軽に参加できるグッズプランから、10万円を超えるプレミアムな対局観戦権まで、支援者それぞれの関心や予算に合わせた豊富なリターンが取り揃えられていました。
これにより、将棋ファンだけでない幅広い人々の支援参加を促すことにつながりました。
継続的な進捗報告とコミュニティ形成
プロジェクト実施中には定期的なメールマガジンやSNSでの情報発信を通じて、支援者との信頼関係を形成。特に支援者限定の動画配信や、返礼品の製作風景を公開することで、一緒にプロジェクトを進めているという実感をもたらしました。
こうした取り組みは、単発の資金調達で終わらせず、次回以降の支援につなげる仲間づくりの土台となっています。
日本将棋連盟から学ぶ「ビジネス × クラウドファンディング」の可能性

日本将棋連盟が実施したクラウドファンディングは、6億円超の支援を集める大規模なプロジェクトでした。しかし、この成功は決して特別な組織にしか実現できない話ではありません。丁寧に設計された目的や返礼品、支援者との関係づくりなど、その根底にある工夫は、中小企業や個人事業主でも十分に取り入れられる要素ばかりです。
ここでは将棋連盟の事例を参考にしながら、ビジネスにクラウドファンディングを効果的に取り入れるヒントを探ってみましょう。
地元の魅力を活かした企画は支援を集めやすい
地域の特産品を使った商品開発や町おこしイベントなど、地域の特色を活かしたプロジェクトはクラウドファンディングと非常に相性が良いと言われています。
実際に、支援者が「その土地に関わりたい」「地域の未来に貢献したい」と感じるきっかけを提供しやすいためです。
日本将棋連盟が取り組んだ「関西将棋会館建設プロジェクト」は、その好例と言えるでしょう。
このプロジェクトでは、新会館開設予定地である大阪府高槻市連携のもとふるさと納税型クラウドファンディングを活用。市の施策の一環として行われたことで、地域振興、文化発信、観光資源の創出といった側面も備える取り組みとなりました。
この構図は、地方の中小企業や団体が地元の魅力をPRしながら支援を募る際にも非常に参考になりますね。
自社の魅力をストーリーで伝える力
クラウドファンディングでは、単に「良い商品」や「便利なサービス」だけでは支援は集まりません。大切なのは、その背後にあるストーリー、つまりなぜこのプロジェクトをやるのかという“想い”をしっかり伝えることです。
日本将棋連盟の新将棋会館建設プロジェクトでも、この「ストーリーの力」が非常に大きな役割を果たしました。
単なる施設の建て替えではなく、「次世代の棋士を育て、将棋文化を世界に発信するための新たな拠点をつくる」という明確なビジョンが、多くの共感を集めたのです。
自社の商品やサービスが生まれた背景、乗り越えてきた苦労、これから目指す未来―そうした物語をしっかりと言葉にすることで、多くの人の心を動かし、クラウドファンディングでの支援につなげることができるでしょう。
想いが届く時代の資金調達―クラウドファンディングの力

クラウドファンディングは、単なる資金集めの手段ではありません。背景にある理念や想いを広く届け、多くの共感を集める力があります。共感から生まれる支援は、金銭的な後押しにとどまらず、新しい仲間や未来のファンとの出会いにもつながっていきます。
日本将棋連盟のプロジェクトが証明するように、明確なビジョンと丁寧なコミュニケーションがあれば、クラウドファンディングは多くの人の心を動かす可能性を秘めています。
「日本将棋連盟のようにクラウドファンディングで資金を集め、ファンとのつながりを築きたい!」と考えていらっしゃる方は、ぜひLEAGUEにご相談ください。LEAGUEは国内クラウドファンディングだけではなく、海外のクラウドファンディングについても数多く携わってきました。
企画の立ち上げから実施、支援者とのやりとりに至るまで、LEAGUEでは無料でご相談を承っています。クラウドファンディングを通じて、あなたの新しいチャレンジを一緒にカタチにしていきましょう。
コメント