約940万の支援!金沢動物園のクラファン事例から学ぶ成功のコツ

動物園って経営が大変らしいけど、これから大丈夫なのかな?

そんな厳しい状態を解決できるのが、クラウドファンディングだよ。

「新しい事業を始めたいけれど、資金が…」
「自社の魅力をもっと多くの人に知ってほしい」

中小企業の経営者や個人事業主の方なら、一度はこんな風に考えたことがあるのではないでしょうか。そんな課題を解決する手段として、今やクラウドファンディング(以下、クラファン)は欠かせない選択肢の一つとなっています。

しかし、単にプロジェクトを公開するだけで、多くの支援が集まるわけではありません。成功の裏には、人々の心を動かし、「応援したい!」と思わせる緻密な戦略があります。

今回は、横浜市立金沢動物園が実施したプロジェクトを例に、支援を集めるためのポイントやリターン設計の工夫をわかりやすく解説します。開園40周年を迎えた動物園が挑んだこのプロジェクトは、824人の支援者から約944万円もの支援を集めるという、目標金額を大きく上回る成果を収めました。

その裏にあったプロジェクト設計の工夫と共感の物語を紐解いていきましょう。

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目次

金沢動物園がクラファンを行った理由と結果

参照:金沢動物園40周年PJ|園の象徴、ゾウのボンとヨーコに給水装置を(READYFOR

まず、この注目すべきプロジェクトがどのようなものだったのか、その背景と結果を紹介します。

開園40周年、2頭のゾウが抱えていた課題

金沢動物園は1982年の開園以来、多くの市民に愛されてきた動物園です。中でも、1985年にインドからやってきたインドゾウの「ボン」と「ヨーコ」は、開園当初から園のシンボル的存在として飼育されています。

参照:金沢動物園40周年PJ|園の象徴、ゾウのボンとヨーコに給水装置を(READYFOR

2022年、2頭はそれぞれ45歳と43歳を迎えていました。そんなボンとヨーコは溜め水ではなく、新鮮な水しか飲まないという習性があることを飼育員は気が付き、対策が必要と思いはじめました。

展示場にある水飲み場は従来の溜め水タイプであり、飼育員がホースで水を与えなければ、2頭はほとんど水を飲もうとしません。長寿を迎えたゾウにとって、十分な水分補給は健康維持に欠かすことはできません。

「好きな時に、好きなだけ新鮮な水が飲める環境を整えてあげたい」──飼育員たちの切実な思いがありました。

予算の壁を乗り越えるための決断

参照:金沢動物園40周年PJ|園の象徴、ゾウのボンとヨーコに給水装置を(READYFOR

ただ、ここで大きな壁が立ちはだかります。動物福祉を向上させるための設備、いわゆるエンリッチメントに関する取り組みは、通常の予算では賄えない予算外執行となってしまうことが多いのです。

公共施設である動物園は、決められた予算の中で運営しなければなりません。新しい給水装置を設置したくても、そのための資金を独自に工面する必要がありました。

そこで金沢動物園が選んだのが、クラファンでした。開園40周年という節目を迎えるタイミングで、READYFORというクラファンプラットフォームを通じて、プロジェクトを立ち上げたのです。

予想を大きく上回った支援の輪

プロジェクト概要

プロジェクト名:金沢動物園40周年PJ ~ゾウのボンとヨーコに給水装置を~
実施期間:2022年1月17日~3月11日
目標金額:500万円

目標500万円でスタートしたプロジェクトは、関係者の予想を大きく上回る早さで進行しました。

プロジェクト開始から約3週間後の2月8日には目標の500万円を達成し、ネクストゴール800万円も3月6日にクリアしました。最終的には、824人もの支援者から目標の約1.9倍となる944万円もの支援が集まりました。

参照:金沢動物園40周年PJ|園の象徴、ゾウのボンとヨーコに給水装置を(READYFOR

この数字は、プロジェクトがいかに多くの人々の心を動かし、支援に繋げることに成功したかを物語っています。

クラファンの基本とオリジナリティあふれるリターン事例

クラファンの基本的な流れは、意外とシンプルです。

クラファンの基本と流れ

クラファンを簡潔に説明すると、「インターネットを通じて「こんなことをやりたい!」と発信し、それに共感した人たちから少しずつ資金を集める仕組み」です。

従来の銀行融資との大きな違いは、審査の厳しさやスピード感。銀行だと事業計画書を作って、審査を受けて…と数週間から数ヶ月かかることも珍しくありません。一方クラファンなら、アイデアと熱意次第で、数日で目標額に到達することも可能です。

クラファン実施までの主な流れは、以下の通りです。

STEP
企画立案:目的を明確にする

「何のために資金を集めるのか」というプロジェクトの核を固めます。例えば、新商品の開発費用・新店舗の開店資金など、具体的で共感を呼びやすいテーマを設定することが成功への第一歩です。

STEP
魅力的なリターン(お返し)の設計

支援してくれた人への感謝のしるしである「リターン」は、プロジェクトの魅力を大きく左右する重要な要素です。商品やサービスだけでなく、アスルクラロ沼津の事例のように、その事業者だからこそ提供できる「特別な体験」は非常に人気があります。

STEP
プラットフォームへの掲載と情報発信

プロジェクトの準備が整ったら、CAMPFIREやMakuakeといった専門のプラットフォームに登録し、プロジェクトページを公開します。そして公開後は、SNSやプレスリリース、既存顧客へのメルマガなどを活用し、一人でも多くの人にプロジェクトの存在を知ってもらうための地道な情報発信が不可欠です。

金沢動物園の特別感あふれるリターン例

クラファンで重要なのがリターン(支援者への返礼品)の設計です。リターンは単なるお礼の品ではなく、プロジェクトの世界観を体現し、支援者に特別な体験を提供するものである必要があります。

金沢動物園のプロジェクトでは、実に多様なリターンが用意されました。いくつか具体例を解説します。

体験型リターン:参加感を高める工夫

ゾウのエンリッチメント体験コース
参照:金沢動物園40周年PJ|園の象徴、ゾウのボンとヨーコに給水装置を(READYFOR

ゾウは本来、長い時間をかけて食事をする動物です。その習性に合わせた餌作りを、支援者自身が体験できるプログラムです。単に見るだけでなく、飼育の裏側を体験できる特別感があります。

園長の特別半日ガイドツアー
参照:金沢動物園40周年PJ|園の象徴、ゾウのボンとヨーコに給水装置を(READYFOR

園長自らが案内してくれるプライベートツアーです。一般の来園者では得られない、深い知識や裏話を聞けるチャンスです。

記念品型リターン:思い出を形に残す

ヨーコの実物大足型ポスター(シリアルナンバー入り)
参照:金沢動物園40周年PJ|園の象徴、ゾウのボンとヨーコに給水装置を(READYFOR

ゾウの足の大きさを実感できる、動物園だからこそできるオリジナルポスターです。シリアルナンバーが入ることで、プロジェクトに参加した証という特別感が増します。

40周年特製「ボン」のぬいぐるみ(特大サイズ)
参照:金沢動物園40周年PJ|園の象徴、ゾウのボンとヨーコに給水装置を(READYFOR

記念イヤーだからこその限定品。大切な思い出として手元に残せます。

標準型リターン:手軽に参加できる選択肢

  • 入場招待券
  • オリジナルポストカード
  • 支援者の名前を園内に掲示

このように、金沢動物園は価格帯の異なる複数のリターンを用意しました。少額でも気軽に参加できる選択肢から、高額支援者向けの特別な体験まで、幅広い支援者のニーズに応えています。

金沢動物園の成功事例から見る、成功するクラファンのコツ

金沢動物園の成功には、クラファンの基本の型が組み込まれていました。ここでは、実際の企業や個人が参考にできる、クラファン成功の3ポイントを解説します。

目的を具体的にして、支援の使い道を明確にする

金沢動物園が掲げたプロジェクトの目的は、「インドゾウのボンとヨーコのために、新鮮な水をいつでも飲める給水装置を設置する」という、非常に具体的で分かりやすいものでした 。支援したお金が何に使われるのかが明確なため、支援者は自分の支援がどう役立つのかを鮮明にイメージすることができました 。

さらに、「もし追加で資金が集まったら、さらに別の環境改善設備を導入します」という段階的な目標(ネクストゴール)を提示したことも、支援の輪を広げる上で効果的でした 。

ビジネスへの応用例

「新商品の開発費用」といった漠然とした目的ではなく、「〇〇を作るための金型代」「〇〇の認証を取得するための費用」というように、目的を具体的に分解して見せることが、支援者の理解・信頼・共感を得る第一歩です。

実績に裏打ちされた、感情を動かすストーリーを語る

支援者の心を動かすのは、スペックや機能だけではありません。その背景にあるストーリーです。このプロジェクトでは、「ゾウの幸せを願う」という感情に訴えるテーマに加え、それを裏付ける確かな実績が示されました。

クラファンを開始する以前より、金沢動物園は動物福祉への優れた取り組みが評価され、エンリッチメント大賞を2年連続で受賞していました 。床に砂を敷いて足の負担を減らしたり、自動給餌器を開発して採食時間を延ばしたりと、日頃から動物たちのQOL(生活の質)向上のために地道な努力を続けてきました。

こうした真摯な姿勢と実績が、「この動物園なら、きっとゾウのために支援金を正しく使ってくれる」という強い信頼感と安心感につながりました。想いを語るだけでなく、これまでの実績や取り組みをきちんと語ることが、ストーリーに説得力を与えます。

ビジネスへの応用例

実績がまだ少ない場合でも、専門性や熱意は伝えられます。以下ポイントを意識し、積極的な発信を心がけてください。

  • これまでの職歴や習得したスキル
  • 試作段階での苦労や学びのプロセス
  • 業界の専門家からの推薦コメント
  • メディア掲載歴やSNSでの反応

支援者との継続的なコミュニケーションで「参加感」を醸成する

クラファンは、プロジェクトページを公開したら終わりではありません。むしろ、そこからがスタートです。

金沢動物園は、クラファンプラットフォーム「READYFOR」の活動報告ページを頻繁に更新し、プロジェクトの進捗状況や、飼育の裏話、支援者から寄せられた応援コメントなどを積極的に発信し続けました。このような継続的なコミュニケーションは、支援者に「自分もこのプロジェクトの一員なんだ」という参加感を抱かせ、一体感を高めます 。

また、動物写真家や大学教授といった著名人からの応援メッセージを掲載し、プロジェクトが多方面から支持されていることをアピールしたのも、信頼性を高める上で巧みな戦略でした。

ビジネスへの応用例
  • プロジェクトの進捗をどのように発信するか?
  • 地域の行政や著名人、メディアとどう連携するか?
  • 支援者が「参加している実感」を得られる仕掛けは何か?

まとめ

金沢動物園のクラファンでは、動物園だけでなく中小企業の新規事業や個人の挑戦にも通じる普遍的な手法が用いられていました。

支援を集めるポイント
  • 誰のどんな課題を解決するのかという「明確な目的」
  • 想いと実績に裏打ちされた「感情に訴えるストーリー」
  • 支援したくなるような「支援者視点のリターン」
  • 支援者との絆を深める「活動の可視化(丁寧なコミュニケーション)」

これらの要素がバランスよく組み合わさった時、プロジェクトは単なる資金調達の枠を超え、多くのファンを巻き込み、事業を大きく成長させる原動力となります

本記事を読んで、クラファンって面白そうと感じたひとは、ぜひともクラファンに向けた準備を始めてください。「クラファンっていっても、何から初めたらいいのかわからいよ…」という方は、弊社LeaguEにおまかせください。

クラファンで人気となりやすいプロジェクトの特徴やリターンの設計、プロジェクトページの作り方など、LeaguEではクラファンのフルサポート体制を整えています。クラファンの企画から実施まで、無料でご相談を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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この記事を書いた人

【CF NEWS運営担当&ライター】
LEAGUEではクラウドファンディング専門メディアの運営を担当。
プロジェクトページの執筆をはじめ、物販ノウハウを学べる教育用コンテンツの制作など、多角的に情報発信を担っている。
「初心者でも理解しやすく、すぐに実践できる記事づくり」が信条。
読者に寄り添い、わかりやすく丁寧なコンテンツ設計をおこなっている。

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