ユニークで参考にしたリターン事例!地方活性型クラファンが成功する理由

地方を元気にしたいけれど、どうすればよいかわからない

クラウドファンディングは誰でもできるものなのか?

そんなお悩みをお持ちの中小企業の代表者様や個人事業主様も多いのではないでしょうか。その解決策の一つとして、近年注目されているのがクラウドファンディングです。

2020年に流行した新型コロナウイルスの影響や、人口減少により、多くの地方施設や文化財が存続の危機に直面しました。そうした逆境の中でも、クラウドファンディングを活用し、見事に危機を乗り越えた成功事例が次々と生まれています。

本記事では、支援総額3,900万円を超えた動物園から世界遺産の修繕プロジェクトまで、実際に成功を収めた8つの地方活性化プロジェクトを徹底分析。それぞれのユニークなリターン設計と、平均支援単価を高める実践的なコツを詳しく解説します。

あなたの熱い想いをカタチにし、地域を盛り上げるプロジェクトを実現するためのヒントが、ここにあります。

目次

地方活性の上手ユニークなリターン事例

ここでは、クラウドファンディングで成功した地方活性プロジェクトの事例を紹介します。それぞれのプロジェクト概要やリターンの内容から、プロジェクトの魅力を掘り下げます。

ノースサファリサッポロ

プロジェクト名

【ノースサファリサッポロ】コロナの影響で存続の危機!動物達を守りたい!

支援額39,017,811円
支援者数5,733人
URL
プロジェクトの特徴
概要

ノースサファリサッポロは、北海道札幌市南区豊滝にある体験型の動物園で、2005年に開園して以来、動物とのふれあいやエサやりを楽しめるユニークな施設として全国から多くの来園者を集めてきました。

しかし、2020年春の新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、ゴールデンウィークを含む長期休園を余儀なくされ、経営の継続が困難に。飼育中の約500頭、138種類の動物たちの命と生活を守るため、クラウドファンディングが行われました。

リターン

支援者には金額に応じて、園ならではのユニークなリターンが用意されました。

  • 開運お守り(ヘビの抜殻、フクロウの羽根、ライオンの毛)
  • ヘビの抜殻キーホルダー
  • ビーバーが齧った木のコースター
  • インコの羽根やヘビの抜殻を使ったピアス
  • COVID-19アニマル支援バンド
  • 動物の足跡Tシャツ(ミーアキャット、カピバラ等)
  • サル・オットセイ・ヤギが描いた絵画(計300枚限定)
  • 本物の手形色紙&フォトカード(カワウソやキンカジュー等)
  • 年間パスポート(同伴者1名無料、ドリンク無料など特典多数)
  • 動物へのエサやり生配信(リクエスト制)
  • ライオンが引っかいた本物の「ダメージジーンズ」
  • 園長体験(一日限定)
  • 園の貸切利用権(平日限定)
  • 10年間有効の特別会員権(VIP待遇・フリーパス)

特に動物たちが実際に描いた絵やライオンが作ったダメージジーンズなど、他では入手できない珍しいリターンが話題を呼びました。

プロジェクトの経過と成果

プロジェクトは開始直後から大きな注目を集め、SNSやニュースメディア、HTB放送「イチモニ」やテレビ東京系 「どうぶつピース」などのメディアでもたびたび取り上げられました。

目標金額である2,500万円を20日ほどで達成し、最終的に156%にあたる約3,900万円を集めました。

集まった資金は動物たちのエサ代、医療費、管理費、冷暖房費、人件費に充てられ、コロナ禍による存続危機を乗り越えることができました。

また、フサオマキザルの「えいきち」が描いた絵が話題となり、「ライオンダメージジーンズ キッズ用」の追加制作なども行われ、プロジェクトは一過性ではなく、園のブランド価値向上にもつながる取り組みとなりました。

江原河畔劇場

プロジェクト名

【長崎バイオパーク】コロナ禍の臨時休園で大打撃。のびのび過ごす動物たちを守りたい

支援額20,353,343円
支援者数2,335人
URL
プロジェクトの特徴
概要

長崎バイオパークは、長崎県西海市にある体験型動物園です。檻越しではなく、広大な自然の中で動物と直接ふれあえるスタイルが特徴で、カピバラ、カバ、リスザル、クロキツネザルなど約200種・2,000頭の動物が暮らしています。カピバラ露天風呂やカバのスイカ丸ごと一気食いイベントなど、ユニークな展示で人気を集めてきました。

しかし、2020年の新型コロナウイルス感染拡大防止のため、4月10日から5月22日まで臨時休園を余儀なくされ、営業再開後も来園者数が前年比約30%減という厳しい状況が続きました。休園中も動物たちの飼育は継続する必要があり、エサ代や飼育環境維持のための運営費確保が喫緊の課題となったため、2021年にCAMPFIREでクラウドファンディングを実施しました。

リターン

支援者には金額に応じて、以下のようなリターンが用意されていました。

  • お礼のメール
  • オリジナル缶バッジセット
  • 動物がエサをおいしく食べる動画
  • エミューの羽
  • ピラルクのうろこ
  • ヤマアラシの針
  • キリンのしっぽの毛
  • エサやり手形
  • サポーターTシャツ
  • ダチョウの卵の殻
  • カピバラのエサ台にお名前掲載&写真
  • カバに名前入りスイカを食べさせる動画
  • 副園長による2時間のスペシャルガイドツアー
  • カピバラエリア1時間貸し切り(竹・野菜盛りの特別えさやり体験付き)
  • カピバラ命名権

プロジェクト終盤には「キリンのしっぽの毛」「フラミンゴの羽」などの追加リターンや、「カピバラとリモート会議」などユニークな体験型リターンも登場し、動物園の個性が光るラインナップとなりました。

プロジェクトの経過と成果

プロジェクトは開始早々から多くの支援を集め、目標額900万円を早期に達成しました。動物園の特徴や魅力がSNSやメディアでも話題となり、YouTuberデカキン氏からの応援メッセージも寄せられるなど、大きな注目を集めました。

プロジェクトで得られた支援金は、すべて動物たちのえさ代として使用され、特にカピバラやカバ、クロキツネザル、リスザルなどの健康的な飼育環境維持に貢献しました。

松陰神社/松下村塾

プロジェクト名

世界遺産「松下村塾」誕生から180年。吉田松陰の生きた証を未来へ繋ぐプロジェクト

支援額18,792,751円
支援者数629人
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プロジェクトの特徴
概要

松陰神社は山口県萩市にある神社で、境内には世界遺産に登録された「松下村塾」と「吉田松陰幽囚ノ旧宅」が現存しています。これらの歴史的建造物は建築から180年以上が経過し、老朽化が深刻化していました。加えて新型コロナウイルス感染拡大の影響で参拝者が7割減少し、建築資材の高騰や落雷被害も重なり、修繕費の捻出が困難な状況に陥っていました。

2024年、松陰神社はこれらの危機的状況を受けて、松下村塾と吉田松陰幽囚ノ旧宅の大規模修繕と落雷対策(避雷針設置)を目的としたクラウドファンディングを実施しました。

リターン

支援額に応じて、以下のような豪華なリターンが用意されました。

  • 特別御朱印紙/御朱印帳
  • 書籍『維新の先達 吉田松陰』
  • 志守(こころざしまもり)
  • シリアルナンバー入り「松下村塾 蔵書印」復刻印
  • 吉田松陰像(ミニチュアブロンズ像)
  • 巫女装束での正式参拝&撮影
  • 松下村塾内での宮司による特別講話
  • 吉田松陰幽囚ノ旧宅内部見学
  • 至誠館収蔵庫の資料特別見学
  • 萩の夏みかんジュース&ゼリー
  • 萩の地魚干物セット
  • 見蘭牛・むつみ豚セット
  • 萩焼の茶器・酒器セット
  • 地元クラフトビール&調味料詰合せ(お買物券付き)
  • 支援者名の芳名掲載(「学びの道」に刻印)
  • 全支援者へのオリジナルポストカード
プロジェクトの経過と成果

プロジェクトは2024年6月14日に公開されると、わずか2週間足らずで当初目標の500万円を突破しました。その後も700万円、1,000万円、1,200万円と順調にネクストゴールを達成し、最終的に1,500万円を超える支援を集めて大成功を収めました。

標達成により、当初予定していた松下村塾・杉家旧宅の修繕に加え、本殿前鳥居や落雷被害を受けた松の木の伐採、避雷針設置にも着手できることになりました。

2025年3月にはUNESCOの認可を経て花月楼の修繕工事が開始されるなど、順次修繕作業が進行しています。

大井川鐵道

プロジェクト名

蒸気機関車に再び命を、昭和の汽笛を次世代へ:大鉄100周年企画

支援額84,226,200円
支援者数4,313人
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プロジェクトの特徴
概要

大井川鐵道は静岡県を走る鉄道会社で、創立98年を迎える2022年に100周年記念企画としてクラウドファンディングを実施しました。

プロジェクトの目的は、長年静態保存されていた蒸気機関車「C56形135号機」を動態(実際に走行可能な状態)に復元し、昭和の鉄道文化とSL列車の汽笛を次世代へ継承することです。

リターン

支援者には豪華な特典が提供されました。

  • 大井川本線全駅の硬券入場券(1億円達成時に全駅分コンプリート)
  • 達成額ごとの特別台紙つき(例:2000万円到達時の専用台紙)
  • 限定缶バッジ「ご支援感謝」
  • C56-135プロジェクト限定のMY安全ヘルメット
  • 昭和53年の復刻時刻表(複製品)
  • 記念奉名板へのお名前掲載(新金谷転車台前)
  • SL列車の運転体験
  • 初列車乗車への招待
  • 修繕工場の見学・技術体験イベントの参加権
  • メールお礼・動画メッセージ・限定パンフレット
プロジェクトの経過と成果

プロジェクトは71日間実施され、台風被害という逆境の中でも「昭和の鉄道文化を次世代に残す」という熱い思いが多くの共感を呼び、SNSやメディアでも大きな注目を集めました。最終的に4,313人から84,226,200円の支援を集め、目標額1億円の84%を達成してプロジェクトを終了しました。

大井川鐵道は、必要資金3億円のうちクラウドファンディングで集まった約8,400万円以外は自己資金等で補填し、必ず動態化を実現するという方針を明記しています。現在、東海汽缶と連携して島田市内に新工場を建設中で、今後は全国のSL修繕や復元の拠点としても活用される予定です。

那須どうぶつ王国

プロジェクト名

自然にいざなう”野生への扉”|那須どうぶつ王国応援プロジェクト

支援額53,465,000円
支援者数3,478人
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プロジェクトの特徴
概要

那須どうぶつ王国は栃木県那須郡那須町にある体験型動物園で、ニホンライチョウやツシマヤマネコなど日本固有の希少種をはじめ、マヌルネコ、スナネコ、ホッキョクオオカミなど世界的な希少動物の飼育・繁殖・保護活動に注力している施設です。

2020年、新型コロナウイルスの影響で4月18日から5月22日まで35日間の臨時休園を余儀なくされ、営業再開後も感染防止対策による営業時間短縮や週2日の休園など制約の中での運営となりました。本来最も賑わう4月から夏休みまでの期間で昨年比マイナス60%もの集客減、収入減という深刻な状況に直面し、希少動物の保全活動継続と動物管理費確保のため、2020年9月にクラウドファンディングを実施しました。

リターン

支援者には以下のような豪華なリターンが提供されました。

  • 那須どうぶつ王国見学ツアー
  • プロジェクト・ワイルド講習(自然体験プログラム)
  • ウレタンマスク、缶バッジ
  • スナネコファミリー切手(日本郵便とのコラボ)
  • DVD『スナネコ成長日記 アミーラ』
  • マヌルネコグッズセット(トートバッグ、ボールペン、携帯エコバッグなど)
  • 園内掲示でのお名前掲載
  • 御礼メール・御礼状
  • リターンなしの純支援型「応援コース」も用意
プロジェクトの経過と成果

プロジェクトは公開2日目という驚異的な速さで第一目標の1,000万円を達成し、その後ネクストゴール5,000万円を設定しました。

SNSやメディア、テレビ特集などで那須どうぶつ王国の希少動物保全活動が注目され、著名人や地域関係者からも多数の応援メッセージが寄せられました。特に園で国内初のスナネコ人工繁殖や、ニホンライチョウの自然繁殖成功などの希少動物の繁殖成果も話題となり、多くの支援を集めました。

パイオニアビレッジ/福島県

プロジェクト名

無人になった街から、日本再生のモデルを生み出す! 建築家×社会起業家が作る拠点

支援額5,265,000円
支援者数349人
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プロジェクトの特徴
概要

このプロジェクトは、東日本大震災と原発事故により一度は無人となった福島県南相馬市小高区に、新たなコミュニティ拠点「パイオニアビレッジ」を創設する挑戦的な取り組みです。

施設のデザインコンセプトは「境界のあいまいな建築」で、移り変わる課題や地域の可能性に対して柔軟に機能する設計が特徴です。コワーキングスペース、居住スペース、オフィス&工房など多機能で用途を変えられる構造となっており、帰還者や移住者、起業家、クリエイターの活動拠点として機能することを目指しました。

リターン

支援者には以下のような豪華なリターンが提供されました。

  • パイオニズムオリジナルステッカー
  • コワーキングスペース1日利用券
  • オープニングイベント招待
  • 大堀相馬焼「KACHI-UMA」や豆皿セット
  • HARIOランプワークファクトリー製マドラー
  • 宿泊券(2泊または6泊分)
  • 相馬家第34代行胤氏による歴史案内ツアー招待
  • 建築家・藤村氏と語るトークイベント
  • アクセサリー製作体験ペアチケット
  • HARIO製ガラスアクセサリー(ティアーズ・カナデ)
  • アクセサリーセット(ネックレス+ピアス)
  • スポンサーネームプレート(施設エントランスに掲示)
プロジェクトの経過と成果

プロジェクトは2018年9月28日に終了し、349名から526万5000円の支援を集めました。

施設は予定通り2018年10月に完成し、11月から供用開始となりました。HARIOランプワークファクトリー小高の工房も施設内に新設され、地元女性の働く場や伝統工芸の発信拠点として機能しています。

プレオープン直後には地元高校生によるビジネスアイデア発表会も開催されるなど、若い世代との関わりも活発に進められています。2019年にはグッドデザイン賞を受賞するなど、その取り組みが高く評価されました。

シェアビレッジ町村

プロジェクト名

年貢を納めて村民に?!シェアビレッジ町村、村民1,000人募集します。

支援額6,174,360円
支援者数862人
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プロジェクトの特徴
概要

本プロジェクトは、秋田県五城目町にある築133年の茅葺古民家を拠点に、「年貢(年会費)を納めて“村民”となる」という新しい村づくりの形を提案する試みです。人口減少や高齢化により失われつつある日本の古民家と農村文化を、多くの人の手で支え、継承していくことを目的にしています。

村民になることで、古民家への宿泊や田舎体験、都市での交流会「寄合(よりあい)」への参加、季節ごとの農的イベント「里帰(さとがえり)」などに参加できます。

リターン

支援者には、支援額に応じて各種リターンが用意されました。

ブロンズ村民
村民証の発行、古民家への滞在予約、各種イベント参加権

シルバー村民
村民証+クーポン6,000円分、厳選米2kg、新鮮野菜や木苺和菓子の詰め合わせ

ゴールド村民
クーポン15,000〜25,000円分、厳選米5kg、秋田の観光ツアー、村長講演付きなど

名誉村民
クーポン50,000円分、厳選米10kg、観光ツアー(4名分)、畑の開墾権、村長講演など

プロジェクトの経過と成果

プロジェクトは驚異的な反響を呼び、開始からわずか32時間で当初の目標金額108万円を達成。4日目には200%を突破する勢いを見せました。

ゴールド村民・名誉村民コースは即完売となり、追加リターンも設定されるほどの人気ぶり。ストレッチゴールの500万円突破により、老朽化が目立っていた茅葺き屋根の葺き替えも実施が決定しました。

プロジェクト成功後、「シェアビレッジ町村」は実際に村民の”第二の故郷”として定着し、宿泊・体験・交流の拠点として機能しています。

サイバラ電車/西原理恵子

プロジェクト名

ふるさと高知にサイバラ電車を走らせたい!漫画家・西原理恵子の観光PR大作戦!

支援額8,962,480円
支援者数419人
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プロジェクトの特徴
概要

サイバラ電車は、高知県出身の漫画家・西原理恵子氏が故郷への愛を込めて企画した、観光PR と「まんが王国・土佐」の盛り上げを目指したクラウドファンディングプロジェクトです。

企画・運営は週刊SPA!編集部が担当し、とさでん交通の協力を得て、西原氏自身のイラストでラッピングした路面電車を高知市内で実際に走らせるという前代未聞の取り組みでした。

また、支援が集まれば西原氏による新作マンガも週刊SPA!で発表されるという企画です。

リターン

クラウドファンディングでは様々なリターンが用意されました。

  • サイバラ謹製お礼カード&ペーパークラフト
  • 特別一日乗車券(西原氏イラスト入り・とさでん交通対応)
  • ご託宣イラスト入りオリジナル半月カレンダー
  • 西原理恵子直筆イラスト付きサイン色紙
  • SNSアイコン用似顔絵描き下ろし
  • イラスト原画(カレンダー/乗車券)
  • サイバラート(直筆アート作品)
  • とりあたまバンドのCD
  • 1コマ漫画で悩みに答える「お悩み相談」
  • ラッピング作業見学+本人同席イベント
  • サイバラ電車で西原氏と宴会できる参加権
  • イメージイラストのサイン入り額装原画
  • 地元企業向け「電車広告を西原が描く」権
プロジェクトの経過と成果

プロジェクトは大きな反響を呼び、開始からわずか1週間で目標金額648万円を達成しました。

サイバラ電車は2016年3月5日に盛大にお披露目され、以降1年間にわたって高知市内を運行。全国漫画家大会議inまんが王国・土佐(2016年3月開催)のタイミングに合わせた運行により、観光PR効果も最大化されました。

プロジェクト成功後は、約束通り西原氏による新作マンガ「サイバラ電車できるかな」が「週刊SPA!」で連載され、プロジェクトの舞台裏からラッピング作業、出発式、宴会電車までの様子が描かれました。

ユニークなリターン事例ジャンル分け解説

紹介した成功事例のリターンは実に多種多様ですが、いくつかのジャンルに分類することができます。ここでは、事例で紹介したリターンを分類し、それぞれの特徴を洗い出します。

自社の強みやプロジェクトの特性に合わせて、どのようなジャンルのリターンが適しているかを考えてみましょう。

独自の技術や素材活用型リターン

地域の特産品やプロジェクト実施団体が持つ独自の技術・素材を活かしたリターンは、支援者にとってここでしか手に入らないという特別感を演出できます。

参照:CAMPFIRE

ノースサファリサッポロ
動物の抜け殻や毛、ビーバーがかじった木を使ったお守りやコースターを提供しました。  まさに動物園ならではの、希少性の高いリターンです。

長崎バイオパーク
エミューの羽やピラルクのうろこ、キリンのしっぽの毛など、普段目にすることのない動物由来の素材をリターンにしています。 

那須どうぶつ王国
スナネコファミリーの切手やDVD、マヌルネコグッズなど、園の人気動物や希少動物に関連したオリジナルグッズを開発しました。 

福島パイオニアビレッジ
地域伝統の大堀相馬焼や、施設内に工房を構えるHARIOランプワークファクトリー製のガラス製品などがリターンとして提供されました。

これらは原価がほぼゼロでありながら、その施設でしか手に入らない希少性により高い価値を生み出しています。特に動物園では廃棄していたものを資源として活用できるため、収益性も高いリターンとなります。

唯一無二の特別体験型リターン

モノだけでなく、特別な体験を提供するリターンも非常に人気があります。プロジェクトの背景にあるストーリーや、普段はできない体験への期待感が支援を後押しします。

参照:CAMPFIRE

ノースサファリサッポロ:園長体験や園の貸切利用権。
長崎バイオパーク:副園長によるスペシャルガイドツアーやカピバラエリア1時間貸し切り。

動物園の裏側や特別な空間を堪能できるプレミアムな体験です。

松陰神社
巫女装束での正式参拝&撮影や松下村塾内での宮司による特別講話など、歴史的空間で特別な時間を過ごせるリターンが用意されました。 

大井川鐵道
SL列車の運転体験や初列車乗車への招待は、鉄道ファンならずとも心惹かれる特別な体験と言えるでしょう。

サイバラ電車プロジェクト
ラッピング作業見学、本人同席イベント、西原氏と宴会できる参加権などはファンにとってたまらない、まさに唯一無二の体験です。

これらの体験は、施設側にとってもコストを抑えながら高単価のリターンを設定できる利点があります。

革新的コンセプト型リターン

プロジェクト自体が持つコンセプトの斬新さや社会的な意義をリターンに昇華させることで、共感を呼ぶことができます

参照:Makuake

シェアビレッジ町村
年貢を納めて村民になるというコンセプトは、リターン(村民証、古民家滞在権など)そのものがプロジェクトへの参加証となり、支援者が当事者として関われる仕組みです。 

福島パイオニアビレッジ
無人になった街から、日本再生のモデルを生み出す」という挑戦的なコンセプトを掲げ、リターンを通じて施設の利用や地域との関わりを提供しました。

ノースサファリサッポロ
ライオンが引っかいた本物のダメージジーンズは、強い斬新さを打ち出しています。

これは、単なる商品提供を超えた、未来への投資とも言えるリターンです。時代背景や社会情勢を巧みに取り入れることで、メディアやSNSでの拡散も期待できます

地域文化・技術継承型リターン

失われつつある地域の文化や伝統技術を守り、次世代へ継承していくことを目的としたプロジェクトでは、リターンを通じてその価値を伝え、支援を募ることができます。

参照:READYFOR

松陰神社
世界遺産・松下村塾の修繕という、まさに文化財保護を目的としており、リターンには御朱印や関連書籍、地元の特産品などが含まれ、支援が直接的に文化継承に繋がることを示しています。 

大井川鐵道のSL動態復元プロジェクト
昭和の汽笛を次世代へというテーマを掲げ、鉄道文化の継承を前面に出しています。記念の硬券入場券や復刻時刻表などは、その象徴と言えるでしょう。 

シェアビレッジ町村
古民家再生と活用を掲げ、日本の原風景ともいえる農村文化の継承を目的としています。 

単なる物品提供ではなく、地域の歴史や文化を伝えるという付加価値が特に重要です。

上手いリターン設計の実践的コツ

ユニークな事例の特徴を見てきましたが、実際にリターンを設計する際にはどのような点に気をつければ良いのでしょうか。ここでは、支援者の心をつかむリターン設計の実践的なコツを3つご紹介します。

平均支援単価を意識した価格設定

成功事例を見ると、支援額と支援者数からおおよその平均支援単価が見えてきます。主な平均支援単価以下のとおりです。

平均支援単価
  • ノースサファリサッポロ:約6,800円
  • 長崎バイオパーク:約8,700円
  • 松下村塾:約29,900円
  • 大井川鐵道:約19,500円

平均支援単価:支援額÷支援者数

もちろん、これはあくまで平均であり、高額なリターンも低額なリターンも重要です。しかし、中心となる価格帯を設定する上で参考になります。プロジェクトのターゲット層がどの程度の金額なら支援しやすいかを考慮し、リターンの内容と価格のバランスを取りましょう。

平均支援単価1万円以上を実現しているプロジェクトは、高額リターンの設計が巧みです。

例えば、松下村塾は支援者数629人と少なめですが、平均単価が高いため大きな支援総額を達成しています。

実践ポイント
  • 1,000円〜3,000円の入門コース
  • 5,000円〜10,000円の標準コース
  • 30,000円〜50,000円の特別体験コース
  • 100,000円以上のVIPコース

いわゆる松竹梅の法則のように、手軽に支援できる低価格帯のものから、コアなファンや企業向けの特別な高価格帯のものまで幅広く用意することで、より多くの支援者層にアプローチできます。このような価格帯を設定し、全体の平均単価が1万円を超えるように設計することが重要です。

支援者の3つの動機を理解

支援者がクラウドファンディングでプロジェクトを支援する動機は、大きく分けて3つあると言われています。

純粋な応援

プロジェクトの理念や実行者の想いに共感し、見返りを求めず純粋に応援したいという気持ち。

那須どうぶつ王国:リターンなしの純支援型『応援コース』など

リターンへの魅力

提供されるリターン(商品やサービス、体験)に魅力を感じ、それを手に入れたいという欲求。

サイバラ電車:イラスト原画など

プロジェクトへの参加・共感

プロジェクトの一員として関わりたい、社会的な意義のある活動に参加したいという想い。

シェアビレッジ町村:村民証など

これらの動機を理解し、支援者の心に響くようなリターンをバランス良く用意することが重要です。

早期支援インセンティブ

プロジェクト開始直後の支援は、その後の勢いを左右する重要な要素です。そこで有効なのが、早期支援者向けのインセンティブ(行動を促す刺激や動機付けのこと)です。数量限定の特別なリターンや、通常価格よりもお得な早期割引価格を設定することで、プロジェクト開始と同時に支援を集めやすくなります。

シェアビレッジ町村
ゴールド村民・名誉村民コースは即完売となり、追加リターンも設定されるほどの人気がありました。限定性の高いリターンが早期支援を促したことがうかがえます。

大井川鐵道
支援額達成ごとに硬券入場券が増えていくという仕組みで、早期支援と追加支援の両方を促進しました。

インセンティブを作る方法
  • 早割価格(20-30%OFF):最初の100名限定など
  • 限定リターンの設定:シリアルナンバー付きアイテムなど
  • 追加特典の付与:早期支援者限定のオンラインイベントなど

リターン設計時の注意点

魅力的なリターンを設計することは重要ですが、いくつか注意すべき点があります。これらを見落とすと、プロジェクトが成功しても後々トラブルになったり、利益が出なかったりする可能性があります。

コスト計算は緻密におこなう

リターン提供にかかる費用は原価だけではありません。クラウドファンディングを確実に実行するためには、下記の費用が必要となります。

これらのコスト計算が甘いと、せっかく目標金額を達成しても、実際には利益がほとんど残らない、あるいは赤字になってしまうこともあります。

特に、物理的なモノを送るリターンは送料が、手作りのものは制作時間がコストに大きく影響します。

対策

見積もりでは、実際の原価に1.5倍の安全係数をかけて計算することをお勧めします。

魅力度の過大評価

プロジェクト実行者にとっては思い入れのあるリターンでも、支援者にとって同じように魅力的に映るとは限りません。特に以下の3つのパターンに陥りやすいので注意が必要です。

「自分たちには価値がある」と「支援者が価値を感じる」のギャップ

内輪での評価と市場評価の乖離していたり、制作側の思い入れが強すぎると支援者との間に大きなギャップが生まれます。

専門的すぎて一般の人には理解されない

業界用語や専門知識が前提のリターン、価値が伝わりにくい技術的な特典などは、支援が遠のいてしまいます。

類似品が簡単に手に入る

ネット通販で購入できる一般的な商品や他の施設でも体験できるサービスをわざわざ支援する人はいません。

対策

プロジェクト公開前に、ターゲット層10名以上にヒアリングを実施しましょう。「このリターンにいくらまで払えるか」を率直に聞くことで、適正価格と魅力度が見えてきます。

また、他の成功しているクラウドファンディングプロジェクトを確認し、同じジャンルでどのようなリターンが支援を集めているか、事前のベンチマーク調査も欠かせません。

実現可能性の軽視

ユニークで魅力的なリターンを思いついたとしても、それを実際に支援者に届けられなければ意味がありません。特に、手作りのリターンや、限定生産品、特別な体験を提供するリターンは、制作キャパシティや実行スケジュールを現実的に見積もる必要があります。

対策

履行能力の120%を上限として限定数を設定しましょう。限定300個と設定する場合、実際には360個生産できる体制を整えておくことが重要です。

体験型リターンは複数の候補日を設定し、柔軟に対応できる体制を整えてください。松下村塾の巫女装束体験のように、通年で提供できるリターンは履行リスクが低くなります。

以上の事例からも、成功するクラウドファンディングは綿密な計画のもと実行されていることがよくわかります。クラウドファンディングの基本的な流れについてまず知りたい方は、こちらの記事を読んでください。

結論(Conclusion)

地方活性化クラウドファンディングの成功は、共感を呼ぶストーリー魅力的なリターンの掛け算で決まります。今回ご紹介した8つの成功事例に共通するのは、単にお金を集めるだけでなく、支援者を巻き込んで一緒にプロジェクトを作り上げていく姿勢が現れています。

成功するプロジェクト作成のコツ
  • 平均支援単価を意識した価格設定する
  • 支援者の3つの動機を理解する
  • 早期支援インセンティブを設置する
  • コスト計算は緻密に

ただし、魅力的なリターン設計には専門的な知識と経験が必要です。コスト計算から履行計画まで、見落としがちなポイントは数多く存在します。

「自分たちのプロジェクトでも、こんな素敵なリターンを作れるだろうか…」

そんな不安を感じた方は、ぜひ一度クラウドファンディングのプロであるLEAGUEのアドバイスを受けてみてください。クラウドファンディングの企画から実施まで、無料でご相談に対応いたします。お気軽にご連絡ください。

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この記事を書いた人

【CF NEWS運営担当&ライター】
LEAGUEではクラウドファンディング専門メディアの運営を担当。
プロジェクトページの執筆をはじめ、物販ノウハウを学べる教育用コンテンツの制作など、多角的に情報発信を担っている。
「初心者でも理解しやすく、すぐに実践できる記事づくり」が信条。
読者に寄り添い、わかりやすく丁寧なコンテンツ設計をおこなっている。

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