クラウドファンディングは素晴らしいアイデアを形にするための有力な手段です。しかし、すべてのプロジェクトが成功するわけではありません。プロジェクトが目標金額に達しなかった場合、支援者の資金はどうなるのでしょうか?
この記事では、クラウドファンディング失敗時の返金対応について、以下の3つのポイントに沿って詳しく解説します。
・返金されるパターンとリターンがもらえるパターン
・クラウドファンディング失敗事例と教訓
・主要プラットフォームの返金方法解説
返金されるパターン・リターンがもらえるパターン
クラウドファンディングプロジェクトが失敗した場合、プロジェクトの種類によって返金ルールが異なります。まず、プロジェクト方式の違いと、返金・リターンの取り扱いについて紹介します。
失敗しても返金される? プロジェクト方式の返金ルール
- All or Nothing方式
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目標金額を達成した場合のみプロジェクトを実行し、実行者は支援金を受け取ることができます。達成できなかった場合は、支援金は支援者に全額返金されます。
- All in方式
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目標金額に関係なくプロジェクトを実行し、実行者は支援金を受け取ることができます。ただし、実行者はリターン提供の義務があります。目標金額に達しなくても、リターンを提供する必要があります。
失敗してもリターンはもらえる? リターン発送のルール
- All or Nothing方式
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プロジェクトが目標金額に到達した場合のみ、実行者はリターンを提供する義務が生じます。
支援者はプロジェクトが目標金額に到達した場合のみ、リターンを受け取ることができます。
- All in方式
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プロジェクトが目標金額に達しなくても、実行者はリターンを提供する必要があります。
支援者はプロジェクト成功に関わらず、リターンを受け取ることができます。
クラウドファンディング失敗事例と教訓
ここでは、実際に返金対応となったプロジェクトの2つの事例を紹介し、失敗の要因と教訓を考察します。
革新的なドローン開発プロジェクト:5.5億円超の資金調達も頓挫
Zano は、革新的な磁力浮揚スピーカーを開発するプロジェクトとして、Kickstarterで15,000人以上の支援者から350万ドル(約5.5億円)を超える資金調達に成功しました。
しかし、プロジェクトは 大幅な遅延と品質問題に悩まされ、多くの支援者は満足な製品を受け取ることができませんでした。
最終的に、Zanoの親会社Torquing Groupは倒産し、支援者は返金を受けることなく、約束されたリターンも受け取れないままでした。
参照;Kickstarter Magazine、2016年1月19日
- 失敗の要因
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過剰な約束:Zano社は実現不可能な機能を約束し、支援者の期待値を過度に高めてしまいました。
コミュニケーション不足:プロジェクトの進捗状況を定期的に報告せず、支援者とのコミュニケーションを怠りました。
リスク管理の欠如: 予期せぬ問題への対応策を準備しておらず、プロジェクトの失敗を招きました。
- 教訓
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現実的な目標を設定:無理な目標を掲げるのではなく、確実に達成できる目標を設定しましょう。
支援者とのコミュニケーションを重視:プロジェクトの進捗状況を定期的に報告し、支援者との信頼関係を築きましょう。
リスクを想定し、対策を講じる:予期せぬ問題が発生する可能性を想定し、事前に対策を講じておきましょう。
有名人でも失敗・田村淳のクラウド遺言サービス
「itakoto」は、大切な人へ向けたビデオメッセージをクラウド上で保管し、あなたの死後に送り届けるサービスとして、CAMPFIREでプロジェクトの支援募集が行われました。
テレビのレギュラー番組を多数持つ芸人・田村淳さんが取り組んだプロジェクトでしたが、433万円の支援金を集めながらも達成率43%となり、目標金額には届きませんでした。
プロジェクトはAll-or-Nothing方式を採用していたため、目標金額に達せず終了し、支援者には全額返金されました。
参照;CAMPFIRE
- 失敗の要因
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ターゲット層の選定ミス:サービスのターゲット層を明確に定義できていなかった可能性があります。
マーケティング不足:プロジェクトを十分に認知してもらうための活動が足りなかった可能性があります。
リターンの魅力不足:田村さんのパーティに参加できるなど、ファンの人からすると特別なリターンはありました。一方、広い支援者層に目を向けた魅力的なリターンを提供できていなかった可能性があります。
- 教訓
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ターゲット層を明確にする:誰に支援してもらいたいのか、ターゲット層を明確に定義しましょう。
効果的なマーケティングを実施:プロジェクトを多くの人に知ってもらうための活動を積極的に行いましょう。
魅力的なリターンを提供する:支援者にとって価値のあるリターンを提供しましょう。
支援金の返金方法について
All or Nothing型のクラウドファンディングプロジェクトで目標金額に達しなかった場合、支援金は全額返金されます。
ここでは、READYFOR、makuake、CAMPFIREの3つの主要なプラットフォームにおける、返金方法について紹介します。
READYFOR
以下の状況となった場合、支援した金額分が返金されます。
・All-or-Nothing型プロジェクトが未達成だった場合
・プロジェクトを実施できなかった場合
・支援金支払い後に支援者がキャンセルした場合
・振込内容に誤りがあった場合(銀行振込)
- 返金方法
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・クレジットカード決済:達成時点で決済は確定
決済予約がキャンセルされ、クレジットカード決済は実行されません。
デビットカードで即時決済された場合、その後返金されます。
・コンビニ・銀行振込:支援者自身が申請
募集終了日の翌月20日頃に、支援金額+システム利用料が指定口座に返金されます。
makuake
All or Nothing 型のプロジェクトで目標金額を達成できなかった場合は、プロジェクト不成立となり、掲載期間終了後に自動的にキャンセルされます。
- 返金方法
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・クレジットカード決済:達成時点で決済は確定
目標未達の場合は決済されず、達成後に決済が確定します。
即時引き落としカード(デビットカードなど)は口座から即時引き落としとなるため、後日返金案内がメールにて案内されます。
・コンビニ・ペイジー・銀行振込:支援者自身が申請
返金はマクアケから行われ、原則プロジェクト終了翌月末日までにメールにて案内されます。
プロジェクト終了日が月の前半の場合は、当月末日案内が可能となるプロジェクトがあります。
指定送金代行業者(ウェルネット株式会社・ネットDE受取サービス)にて振込口座情報を入力し、送金が完了します。
CAMPFIRE
プロジェクト不成立の場合、支援金は全額返金されます。プロジェクト内容の実施、リターン履行はされず、プロジェクトページはサイト内に残ります。
- 返金方法
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クレジットカード決済:各決済サービスのキャンセル対応に準じる
コンビニ・銀行振込:
プロジェクト終了後、指定の銀行口座へ最大16日以内に返金が行われる。
結論(Conclusion)
クラウドファンディングにおいて、プロジェクトが目標金額に到達しなかった場合、支援者への返金対応はプロジェクトの方式やプラットフォームによって異なります。
All or Nothing型プロジェクトでは、目標金額に達しないと支援金が全額返金され、リターンも提供されません。一方、All in方式では、目標未達でもリターンが提供されますが、返金は行われません。
各プラットフォームの返金手続きについても理解しておくことが重要です。クレジットカードや銀行振込など、支払い方法によっても返金手順が異なるため注意が必要です。
クラウドファンディングに挑戦する人も支援する人も、返金対応のルールを確認し、安全にクラウドファンディングで夢を実現しましょう。
クラウドファンディングを成功させるためには、目標金額を適切に決めることが不可欠です。目標金額の適切な決め方については、こちらの記事で解説しています。
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