クラウドファンディングとは、インターネットを通じて多くの人々から資金を集める方法です。そして、クリエイターや起業家、個人の方でも夢を叶えられる大きな可能性を秘めています。
しかし、クラウドファンディングで成功するためには、他のプロジェクトと差別化し、効果的な戦略を立てることが不可欠です。この記事では、クラウドファンディングの基本的な概要と市場動向を紹介し、ライバルと競合しないための具体的な戦略を紹介します。
クラウドファンディングの基本と拡大する市場
クラウドファンディングの起源は海外にありますが、近年は日本国内でも急速に普及し、多くのプロジェクトがクラウドファンディングを通じて成功を収めています。ここでは、クラウドファンディングの基本的な概要と、現在および将来の市場動向について紹介します。
クラウドファンディングの概要
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて多数の個人から資金を集める方法です。プロジェクトの実行者(起案者)は、クラウドファンディングプラットフォームを利用してアイデアやプロジェクトの詳細を公開し、支援者から資金提供を募ります。
クラウドファンディングには、購入型、寄付型、金融型の3つの主要なタイプがあります。
購入型クラウドファンディング
最も一般的なクラウドファンディングのタイプであり、支援者は金銭によってプロジェクトを支援します。支援者はリターンとして、商品やサービスを受け取ることができます。
寄付型クラウドファンディング
社会貢献性の高いプロジェクトが多く、寄付という形をとったクラウドファンディングです。商品などの明確なリターンが存在しない形式のことを呼びます。
金融型クラウドファンディング
実行者は支援者からの支援を出資という形で受け取ります。実行者は出資金を元に出した利益に応じて、支援者に対して金銭的リターンを提供します。
クラウドファンディング市場の現在&将来動向
世界のクラウドファンディング市場
クラウドファンディング市場は急速に拡大しており、世界のクラウドファンディング市場規模でみると、2023年に165億米ドルに達しました。2032年までに429億米ドルに達し、2024年から2032年の間に11.26%の成長率(CAGR)を示すと予測しています。
出典:IMARC、クラウドファンディング市場レポート:タイプ別、最終用途別、地域別、2024-2032、2024年3月02日
世界中で多くのプロジェクトが成功を収めており、KickstarterやIndiegogoなどのプラットフォームは、数百万ドル規模のプロジェクトを多数支援してきました。
日本のクラウドファンディング市場
日本でも年々市場規模が拡大しており、2022年には2,000億円近くまで市場規模を伸ばしていると予測されています。日本ではMakuakeやCAMPFIREといったプラットフォームが広く利用されており、様々なジャンルのプロジェクトが資金を集めています。
出典:株式会社矢野経済研究所、2022年版 国内クラウドファンディングの市場動向、2022年7月22日
これらのプラットフォームは、それぞれ独自の強みを持ち、異なるニーズに応じたサービスを提供しています。例えば、Makuakeは新製品のローンチに強く、CAMPFIREは幅広いジャンルのプロジェクトをサポートしています。市場の成長に伴い、クラウドファンディングは新たな資金調達手段として定着しつつあります。
ライバルと競合しないための戦略
これからの市場成長を期待できるクラウドファンディングですが、成功するためには競合プロジェクトと差別化するための戦略が重要です。特に、ユニークなプロジェクトの選定、魅力的なリターンの設定、そして効果的なプロジェクトプレゼンテーションが鍵となります。以下では、それぞれのポイントについて具体的に紹介します。
ユニークなプロジェクトの選定
クラウドファンディングで成功するためには、他のプロジェクトと差別化できるユニークなアイデアを選定することが重要です。たとえば、特定の地域の特産品を活用したプロジェクトや、新しい技術を用いた革新的な製品などは、競合が少なく、支援者の関心を引きやすくなります。
ユニークな特徴を持つプロジェクト事例をご紹介します。
ユニークなプロジェクト事例1:今度こそ宇宙へ! MOMO2号機をみんなで飛ばそう
ロケット開発を行う会社が立ち上げたロケット打ち上げのためのクラウドファンディングです。
リターンとしては、「報告書」や「打ち上げ参加権」など日常生活では普段見ることができないものが用意されています。
ユニークなプロジェクト事例2:【長崎バイオパーク】コロナ禍の臨時休園で大打撃。のびのび過ごす動物たちを守りたい
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、売上が減った長崎バイオパークを救うためのクラウドファンディングです。
リターンとしては、「キリンのしっぽの毛」「名前もしくはメッセージ入りスイカをカバが食べている動画」など、動物園ならではの特典が用意されています。
また、市場調査を行い、ニッチ市場を見つけ出すことも有効です。ニッチ市場は競争が少ないため、独自の価値を提供することで成功しやすくなります。
ニッチなプロジェクト事例:めちゃくちゃ美味しいビリヤニをみんなに食べさせたい。それだけ!
東京・神田にあるビリヤニ専門店「ビリヤニ大澤」の運営資金を集めるためのプロジェクトです。
リターンとしては、「食事券」「ビリヤニ料理教室」が用意されています。
魅力的なリターン設定
リターンの設定はクラウドファンディングプロジェクトの成功に直結します。支援者が魅力を感じるリターンを提供することで、多くの支援を集めることができます。
下記ポイントをリターン設定に盛り込み、支援者に魅力を感じてもらいましょう。
- 支援者がどんな人かをイメージする
- リターンは価格帯を分け、複数設定する
- プロジェクトに合ったリターンを設定する
- リターンの内容や仕様はわかりやすく、詳しく伝える
- 支援者の気持ちをかき立てる、限定数や特典を設定する
効果的なプロジェクトプレゼンテーション
プロジェクトの成功には、魅力的なプレゼンテーションが欠かせません。プロジェクト内容を記載したページ作成には、高品質なビジュアルや動画を用いて、プロジェクトの魅力を視覚的に伝えることが重要です。
また、プロジェクトの背景や目的を明確に説明し、支援者が共感しやすいストーリーを構築しましょう。具体的な目標や支援金の使用用途などを明記することで、プロジェクトの信頼性を高められます。
さらに、プロジェクトの進捗状況を定期的に更新し、支援者とのコミュニケーションを図ることも大切です。活動報告欄やSNSを活用して、積極的に情報発信を行いましょう。
ユニークさを生み出すUSPの見つけ方
クラウドファンディングで独自性を発揮するには、あなたのプロジェクトが持つ独自の魅力・USP(Unique Selling Proposition)を把握することが重要です。
主観や周りの人たちからの評価からUSPを見つけることもできますが、より客観的にUSPを見出す方法が存在します。その方法がPoint of X(PoX)フレームワークです。
- PoXフレームワークとは
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- プロジェクトの差別化要素、同質化要素、そして改善すべき要素を体系的に分析するツール
- 3つの観点からプロジェクトを客観的に評価することで、独自の価値を明確にし、支援者の心を掴む魅力的なUSPを創り出す
PoXフレームワークを使ってあなたのプロジェクトが持つUSPを探る方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
結論(Conclusion)
クラウドファンディングは、クリエイターや起業家にとって非常に有効な資金調達手段です。そして、成功するためには他のプロジェクトと差別化し、ユニークなアイデアや魅力的なリターンを提供することが重要です。
プロジェクトのプレゼンテーションにも工夫を凝らし、支援者との積極的なコミュニケーションを図ることで、信頼を築き、プロジェクトの成功に近づけることができます。
これらの戦略を活用し、クラウドファンディングでライバルと競合せずに成功をおさめましょう。
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